52:what's with him ページ3
【ハク】
言われた場所に着いたから委員長に何度も電話をかけてみる
｢…電話に出んわぁ…なんちって｣
諦めて壊された門から入ってみるけど、敷地内に昔の面影はほぼ無かった
｢(姉貴が植物園に行きたいって…よく来てた)｣
辺りを見渡してもボーリング場とかがあった建物しか見当たらない、というか残ってるように見えない
ということはそういう事なんだろうから、僕は真っ直ぐにそこに向かう
建物の近くまで来るとガラスが割れる音と、何かが地面に落ちた音が聞こえた
この建物なら何となくでも場所を聞いて、あの子を探す方が早いと思って中に入った
そうしたらまたガラスの割れる音がした
｢(まだ暴れてるなら委員長は"御存命"っと)｣
その音の方へ歩いて行けば委員長の方から姿を現した
｢ほらね｣
｢…あなた、いま来たの？｣
｢チャリで来た｣
睨まれたからふざけて返す
正確には原チャリだけどネタだし、これでも学校から直行で最速タイムだし
言い訳を考えてたら見知った姿がその肩に凭れてた
2人ともボロボロで苦しそうで驚く
｢…隼人？何で？｣
｢…てめぇこそ…何で、居んだよ｣
｢お前には関係ない｣
隼人の質問は仕事とは関係ないから説明する気にはならない、とはいえ僕は肩を貸さないほど白状でもない
空いた隼人の腕を肩に載せる
何でか隼人が不機嫌だけど今はどうでもいい
それを見た委員長も不機嫌そうに、そして口を開いた
｢…あなた何してるの？｣
｢負傷者に肩貸したの｣
｢そんな事よりはや｢場所聞いた方が早いっしょ｣
｢…上手く言えない｣
｢どう行った、どんな場所、何がある、あの子の様子…｣
そこまで言ったら委員長の様子が変わった
すごく苛立ってるのが離れてても分かる
｢(また肉壁…可哀想な隼人)｣
｢開けた個室、冷蔵庫、長いカーテン…丸いテーブル｣
｢おん｣
｢ソファ…桜…あの子は……寝てる｣
思い出すのが苦しいのか彼の声が次第に小さくなっていく
それでも冷静に話してくれるなら、今の僕は構わない
｢怪我は？｣
｢…分からない｣
｢宴会場とか？｣
｢…あの子を…大切そうに扱ってた｣
｢…行きは？｣
｢……沢山咬み殺した｣
欲しかったのと違う答えだけど方針は決まった
｢(死体で出来た道を探して、その上を歩けば良い)｣
｢…頼むよ｣
｢一応確認、会うことになっても？｣
｢…僕が傍にいるから大丈夫｣
｢分かった…創様に任せとけ｣
いい仕事をしてみせよう、可愛い後輩の為に
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作者名：ゆきみ大福 | 作成日時：2021年1月14日 22時
