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23:零(3) ページ23

時間帯的には夕食の支度でバタついてるだろうし、煩い場所だとお昼寝に差し障る。だから、適当に屋内に入って直ぐの誰も居ない、且つ騒がしい所から遠ざかった部屋に入った。

「A…ここ、いっちょ」

直哉の横に寝そべって、小さい胸をとんとん叩く。歌と絵をでんでん虫に助けて貰えたのは幸の出来事で、とんとん拍子に事が運んだ。

因みにと言うか、矢張りと言うか、先程の蝸牛の数を直哉はちゃんと理解していて、それは描いた絵の中にしっかりと表された。

そして、何匹いるかの問いには又もやピースで返し、見事に満点の回答を叩き出す。

「(実際に叩かれた話は…。忘れよう)」
「…おはなち」

現在、俺が手こずって居るのはこれ。先に言って置くとお世話をするに当たり、御局様方から託された荷物の中身は大抵の事に対応出来る。

言わば四次元の世界に繋がっていると表現しても過言ではない色々が詰まっていて、お昼寝は勿論の事。下の世話、お絵描きも何だって対処可能。ただし、お話に関しては、

「…A〜?」
「ん〜?」

俺の知識と想像力が問われる。誰が、何を、どうして、こうして、こうなった。単純な話だけれど、言うは易し行うは難しとは正にこの事。

『お歌、お絵描き、お話。直哉様はどーれだ』
『じぇーんぶ』

なんと言うか、自分の口を縫ってやりたい。話せる事も有るには有るが、直哉の理解が及ば無ければ到底何の意味も無い。

「おはなわ〜?」
「…では。でんでん虫の、巻き巻きには」

先程の絵を直哉に見せつつ見切り発車で話し始める。蜻蛉の目を如く貝を指でゆっくり、ぐるぐると示して問うのは内容が、では無く教訓が少々難しい問題。

でも、恐らく直哉にも必要な事。

「…何が入っているでしょうか」

大人しく絵を見ていた瞳が天井へ、室内に静寂が訪れる。眠たそうにウトウトと目蓋を擦る直哉には、幾ら答えを考えても正解まで到底。辿り着けない。これはそう言う話だから。

「ちゃくら!…んぼぉ」
「フフッ。美味しかったですね…さくらんぼ」

これは、さっき食べたおやつの話。何とも子供らしくて良い。

このままだと答え合わせは必要ない様で、こっくり、こっくりと船を漕ぐ直哉は見ていて楽しいのと、少々危ないのと。理由は純粋に。あと、俺が気を抜けば起こして脊髄反射パンチか蹴りを食らうから。

「…お、うた」

どうやら小さな怪獣は、寝付くのにも貪欲なご様子。それなら、呼吸と拍子を合わせた子守唄を。

お話の答えはまた何れ。

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作者名:ゆきみ大福 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mutsuki159/  
作成日時:2021年6月12日 11時

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