01:微睡(1) ページ2
―俺はAが好きだ。
別にソッチの趣味が有るか否か、そう言う話では断じて無い。
ただ、お前の面が良いのは認めてて、それで口を開かなきゃ上々だと思うだけ。
これはどうにもならん。
―俺はAが好きだ。
術式を持ってる奴ら。
無くても鍛え散らかす筋肉ダルマ共。
俺はこの屋敷が、禪院家の人間が全員嫌いだ。
『ダジャレを言うのは俺じゃー、なんつって』
頭の中でお前は常に巫山戯け倒して、色々とバカにしてる。
で、だ。頭ん中で遊んで、狂ったこの家から意識を逸らす。
俺らに人権は無いから選択肢も無い。
全て詰んでるし、無視するしかない。
俺は嫌味で体裁を整え。
お前は笑顔で誤魔化す。
俺は言葉を体で現す。
しかも、呪力はゼロ。
天与呪縛の
“術師にあらずんば人にあらず”
お前は上っ面で隠す。
どっか、何かが皆無。
天与呪縛は
―俺はAが好きだ。
｢男で良かったな、お前｣
｢なんで？｣
恵まれた容姿は、誰かれ構わず男も惹き付けてた。
傍目からだと、綺麗なお馬鹿さんにしか見えない。
｢聞くな。胸糞悪い｣
｢…あぁナル！って辛い…。俺のも、調子悪いわぁ｣
会話すれば、ずっと話しの調子がズレた。
｢…黙っとけクソッタレ｣
｢俺の名前はうんこさんって？Aだよ？｣
会話をしてると少しは気分がマシになる。
お前はずっと、楽しそうに笑ってるから。
俺はそれを見てて、気持ちが楽になった。
嫌味じゃねぇし、これは、その、あれだ。
―俺はAが好きだ。
グレてる俺とスレてるお前。
似たような天与呪縛。
二つ離れた歳。
男同志。
反りが合う理由なんてそんなもん。
―俺はAが好きだ。
もうどうしようもねぇ。
俺はどうやっても理解出来ない。
俺はこの家を捨てる。
出て行く。
―俺はAが好きだ。
これも、どうにもならねぇ。
そんなもん。
｢(思考を止めるな。それは、。)｣
15:【青/シド】(2)
25:【必要悪/シド】(3)
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作者名：ゆきみ大福 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mutsuki159/
作成日時：2021年6月12日 11時
