0046:魔王―屠星― ページ48
【ギャロ】
「!!」
避難区域の拡大と、もしもの時は俺が虎杖を始末する。色々と、釘崎を伊地知さんに頼んで施設に戻ろうとした時。生得領域が閉じたのを感じて、特級が死んだ事は分かった。
となると、宿儺が祓った事になる。Aさんからは連絡があったと、伊地知さん伝で聞いたから無事だとして。
「(後は虎杖が戻れば)」
「
背後からした声と気配は虎杖じゃない。最悪の事態になった事を頭で理解した瞬間に冷や汗が吹き出る。圧倒的な力を前にまた足が竦んで動けない。
「そう怯えるな。今は機嫌がいい、少し話そう」
「(Aさんは何してる!!)」
「なんの縛りもなく俺を利用したツケだな。俺と代わるのに少々手こずっている様だ」
今はコイツに会話を合わせて、虎杖が戻るまでの時間を稼ぐのが得策だと宿儺に向き直れば、制服をビリビリと引き裂き始めた。
「しかしまぁ、それも時間の問題だろ。そこで俺に出来る事を考えた」
そんな宿儺の行動の意図を理解出来ずに、ただ傍観していればヤツは手を虎杖の体に突き立て、そのまま内臓を抉り出す様に。まだ脈打つ心臓を片手に、
「なっ!!」
「
ドクンドクンと脈動する虎杖のそれを地面に投げ捨てた。それだけじゃない。
「俺は心臓なしでも生きていられるがな、
俺に見せ付ける様にして取り出したのは、宿儺の指。ヤツはそのまま、あの時と同じ様に口へ運び、そして飲み込んだ。
「さてと、晴れて自由の身だ。もう怯えてもいいぞ」
不平等な現実のみが平等に与えられている。頭では分かっていても、私情で死なせたくないとねがった日。虎杖と出会った最初の日。
「殺す。特に理由はない」
「…あの時と立場が逆転したな」
もしもの時は俺が虎杖を始末する。そうは言っても何故かまだ、不平等な現実のみが平等に与えられていても、きっと大丈夫だと信じる自分自身がいた。
「虎杖は戻ってくる。その結果自分が死んでもな。そう言う奴だ」
「買い被り過ぎだな。コイツは他の人間より多少頑丈で鈍いだけだ。先刻もな、今際の際で怯えに怯えゴチャゴチャと御託を並べていたぞ」
降り止まない小雨が振る中で宿儺を、虎杖を観察して、俺は何をすべきかと勝ちの条件迄の算段を立てる。ヤツの語る虎杖がどうで在ろうと俺には関係ない。
「断言する。奴に自死する度胸はない」
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ゆきみ大福(プロフ) - ボブさん» コメントも評価もありがとうございます。文章力が足りなくてすみません(´;ω;`)分からない所を教えて下されば!解説作ります! (2021年7月30日 22時) (レス) id: 3362b7a468 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - お話少し難しいけど、読んでいて楽しいです!毎日更新楽しみにしながら過ごしています!星の一番右端押しました!! (2021年7月28日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきみ大福(プロフ) - 絶対に出て来るなぁ。笑える。低評価あざーす (2021年4月28日 12時) (レス) id: 3362b7a468 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきみ大福 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mutsuki159/
作成日時:2021年4月27日 23時