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0030:MARIONETTE ページ31

【BOØWY】

「〈チューしよ〉」
「ぐぬぬ」

顔目掛けてよじ登って来る傑の頭を押さえ付けながら、考え事中の先生を見た。
小さい呪骸なのに思ってた以上に力が強い。

「…天元様が土地を守る結界なら、お前は人を護る結界」
「〈チューしよ〉」
「…上層部はそれを知った上でお前を近くに置きたがっている」

話す先生は暗い色。
こういう先生を見るのは傑の事を聞いてきた時と今で2回目。

「〈チューしよ〉」
「…それが何を示すのか、分かるか?」

真っ直ぐに俺の目を見る先生の炎は小さくて、ずっと左右に揺らめいて消えて終いそうで、余り見ていて気分は良くない。

「〈チューしよ〉」

それに、投げかけられた質問も俺には良く分からないし、傑の調子も元に戻らないし。
というか、凄く気が散るから考えるのを諦めて頭を振る。

「恐らくだが「〈チューしよ〉」…無差別で人死が起こる可能性がある」
「…俺には止められない」
「〈チューし「分かっている」

そう、止められない。
五条みたいに力でねじ伏せる事も、傑みたいに力を味方にする事も、硝子みたいに人を癒す事も。
俺には出来ない。

「ただ、そうなった時。お前は「チューしよ」

騒がしい傑の止め方も分からなくて放置していたら、先生の大きな溜息が聞こえた。
きっと話が途切れ途切れになるから疲れたんだと思う。

「…したら静かにする?」

引き剥がそうかとも思うけど傑が嫌ならそれは出来ない。
"チュー"が何かは知らなくても大人しくなるならと思って聞いたら、頭が取れるかもって位に頷いてくれた。

手の力を抜いて好きにさせておくと、目の前が傑でいっぱいになって口が塞がれる。
また聞こえた大きな溜息は先生のモノ。

「("秘密"の時だ)」
「……上層部が何を考えて、何を望んでいるのか。それは私にも分からん」

先生の姿は見えない。
返事が出来ないから頷けば傑も一緒に揺れた。
傑からは暖かい桃色が透けて見える。

「だが、良からぬ企みが有りそうなのは確かだ。お前はその時になれば高専を捨てろ」

全てを言い切ったのか先生は黙って、傑は満足したのか胸元までズルズルと下がって行く。
視界に入ったのは小さい蝋燭の炎みたいな、眉間に皺を寄せて唇を噛む先生。

「…如何してそんな顔するの?」

表情は分かっても理由は分からない。
分からない事は聞く。
先生に教わった。

「お前が成すべき事は、お前の死を意味する。私はそれを知っている」

震える声は微かな風になって炎を吹き消した。

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ゆきみ大福(プロフ) - ボブさん» コメントも評価もありがとうございます。文章力が足りなくてすみません(´;ω;`)分からない所を教えて下されば!解説作ります! (2021年7月30日 22時) (レス) id: 3362b7a468 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - お話少し難しいけど、読んでいて楽しいです!毎日更新楽しみにしながら過ごしています!星の一番右端押しました!! (2021年7月28日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきみ大福(プロフ) - 絶対に出て来るなぁ。笑える。低評価あざーす (2021年4月28日 12時) (レス) id: 3362b7a468 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆきみ大福 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mutsuki159/  
作成日時:2021年4月27日 23時

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