09:ロックンロールボーイ ページ10
【ニコ】
気づけば衣替えが終わったようで、季節はこれから夏といったところだろうか
生徒は早く夏休みにならないかと浮き足立つ頃だろう
そんな中1-Aの朝のホームルームが騒めいた
「イタリアに留学していた、転入生の獄寺隼人君だ」
かっこいいと小さくあがる声は女子生徒のものだ
「(イタリアっていうとリボーンの故郷と一緒か)」
「(俺と真逆だ！仲良くしたい！)」
それぞれ感じた事は違うようだが、獄寺は周囲を気にせず教室を歩いていく
汐路に至っては彼に軽く手を振っていた
獄寺はツナの横までくると、彼の机を蹴り上げ自席へ向かう
ツナの周りでは不良だと声が上がるが、女子生徒にはまた違った様見えるらしい
「(めっちゃ態度悪い人)」
ただ汐路の中では獄寺の印象は最悪になっていた
理科のテストの返却が始まる
自分の苗字を呼ばれて汐路は先生の元へ向かう
「(95点か、惜しかった)」
どこを間違えたのかと教科書を開き、復習していると汐路は気づく
「(これ、誤字脱字の減点)」
残念そうに彼が項垂れていると、教室にどっと笑い声が響く
また何かを見逃したらしい汐路は、続いて聞こえた扉が開く音の方に視線を向けと獄寺が登校してきたようだった
「(態度悪い人だ)」
遅刻だと注意する教師の声、小さく話し声が聞こえるが
自分には関係ないと汐路は教師の方へ向き直る
「おはよーございます十代目！！」
獄寺の大きな声に汐路は驚いて肩を震わせるが、飽きた様子でグラウンドを眺め始めた
すると何やら教師の無駄話が始まり、授業どころではない雰囲気
休み時間に校長室に呼び出しを受けるツナと獄寺、そんな2人をみて汐路は近くの男子に声をかけた
「あの2人どうしたの？」
「まじ？汐路見てなかったの？」
「何を？」
獄寺がツナを十代目と呼びお辞儀をした事
獄寺が教師に掴みかかった事
獄寺の連帯責任でツナが呼び出された事
「(獄寺の態度が悪いのが悪い」
汐路はそう自分の中で結論を出したその時、何度か続けて爆発音が轟く
何事かと教室にいる生徒はその方向に目を向ける、今度は汐路も例外ではない
「(世紀末きたわ)」
粉塵や爆炎が見えるし、まだ止むことのない爆発音も聞こえる
汐路は唖然としたままグラウンドに目を向けていると、地震の様な揺れが起こり音が止む
「(俺は明日も生きてるかな)」
何が起こったか汐路は知らない、しかし理科の先生が解任になったのは後に知った
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作者名：ゆきみ大福 | 作成日時：2020年10月20日 17時
