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48:chocolate panic ページ49

【フジファブリック】

お布団の中があったかくて、安心するとは思っていたけど

「(動けないなぁ)」


汐路はおそらくいつも通りの時間に目を覚ましたが、布団から出られずにいた

雲雀が後ろから抱き込むように寝ているからだ

「(雀の鳴き声がする)」

閉じた鎧戸のせいで光は入らないが、音から察するに雨は降っていないのだろう
汐路は意を決したのか、ゆっくりと腕の中から抜け出した

しばらくして雲雀は薄く目を開けたが、また眠りにつく


彼は軽快な足取りで走っていく、外は快晴
白い雲が細く尾を引きながら流れていく
風もあって気分の良い朝

「(お墓参りして、ご飯の支度して、洗濯して、掃除して)」

汐路の思考回路も今日は調子が良さそうだ
吹っ切れた様な表情で彼は走っていく

「(パン、卵焼き、ハンバーグ、ピクルス、オニオンスープ)」

どうやら朝食のメニューも決まったようだ


戸を引く音と共に、入って来た光で雲雀は目を覚ました


顔を洗い、台所を見てから居間へ向かう

君の姿が見当たらない、君の部屋を覗くけど居ない

諦めて居間に腰を下ろせば、君は庭から顔を出してきた

「恭弥くんおはよう」
「おはよう汐路」
「2回目の朝だよ」

ご飯用意する、家に上がりながら君は言い台所へ向かう

僕もそれについて行き、君の横で作業を見る

食事の支度が整うと、先に食べろと言って君はまたどこかへ消えた

僕が黙々と1人で食事を取っていると
洗濯物を抱えた君が庭を歩いていく

「(今日は元気だね)」

時折見える君の姿を目で追いかけながら、そう考えていた


「長々と付き合ってくれてありがとうございました」
「本当にね、お邪魔しました」

目の前で深々と腰を折り頭を下げる汐路につられて、雲雀もその真似をする

そうすると汐路は雲雀の頭に自分の頭をぐりぐりと押し付け、笑い始めた

「…君、何やってるの?」
「ふざけてるの」

2人とも姿勢を正して向き合えば、一方は明るい顔、もう一方は呆れ顔だ

汐路がその呆れ顔の左頬に軽くキスをすれば、今度は嫌そうな顔になった

「また、学校でね」


はじめての夏休みがもう終わる
そしてまた学校生活が始まる

この時、まだ俺は何も知らなかった
自分が何なのか、何に巻き込まれていたのか

知らないから平和だったのかも知れない

知ろうとしなかったから平和だったのかも

49:sing sing sing→←47:パラレルワールド・リーディング



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作者名:ゆきみ大福 | 作成日時:2020年10月20日 17時

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