42:朝に二人は ページ43
【ハロースリープウォーカーズ】
「(頭がぐらぐら重たいし、完全に寝不足)」
そう考えながらも汐路は手際よく朝食の準備をする
紐で寝巻きの袖を捲り上げ、髪は高い位置で一纏めにされている
家の中には炊いた白米とお味噌汁、それと魚を焼く匂いが漂う
「お腹空いた」
彼は真横に雲雀が立っていたのに気づかなかったのか
びくりと肩を震わせて声がした方へ顔を向ける
「…すぐ出来るよ、びっくりしたぁ」
「いい匂いするね」
彼は匂いに釣られてきた様で、目を輝かせて汐路の手元を見ていた
諦めて手元に視線を戻して作業を進めながら、汐路は雲雀に話しかける
「服、クリーニングだよね」
「そうなるね」
「…適当に俺の服着ていいから、着替えてきなよ」
汐路はもちろんだが、雲雀もまだ寝巻きのままだ
雲雀に至っては着替えが無いからそうなのだろうが
「…家探しするよ?」
「見つかって困る物なんか無いよ」
苦笑いながら返した汐路の言葉を聞くと、雲雀は彼の部屋に向かう
「(派手)」
雲雀は彼の部屋で洋服箪笥を開けて固まっていた
最初に開けたTシャツの引き出しはそれほどでも無かった
白か黒かに少しの柄、しかし襟が無いのが気に食わなかったのか
別の引き出しを開けて今に至る
引き出し一杯の襟付きのシャツは大半がカラフルな柄物で長袖、1枚手に取って掲げてみるが
「(目が回りそう)」
雲雀は諦めて居間に戻ろうと襖を開けると、テーブルの上には料理が並んでいる
汐路の姿は無いがおそらく台所だろう
「あれ、まだ着替えて無かったの?」
居間で雲雀が座り込み、ため息を吐くのと同時に
茶碗やらを乗せたトレーを持って汐路が入ってくる
テーブルの横に膝をつき食事の準備が終わったのか、彼もそこに座り込むのを見て
2人は一緒に食事の挨拶をして食べはじめる
「僕でも着れる服選んで」
そう汐路に雲雀は言うが、彼には何の事だか分からない様だった
「何でも適当に着たらいいのに」
「…君の服、派手すぎ」
「そんな事ないよ?普通だって」
「半分無地で半分は派手な縦縞」
「縦縞…ストライプって言ってよ」
「無地だと思ったら、襟と袖の内側が花柄」
「あれ良いよね」
「…昨日の罰ゲームでいいから」
雲雀がそう言った途端に汐路の目が輝き出した
「本当に!それでいいの!?」
「…良いから、選んで」
「楽しみー、何着て貰おうかな」
「変なの選んだら咬み殺すから」
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作者名:ゆきみ大福 | 作成日時:2020年10月20日 17時