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33:monster（under my bed） ページ34
【コールミーカリズマ】
汐路は家に着くなり鞄を放り
自室へ向かい毛布を取り出して、それに巻きつく様に横になった
そのまま体を丸めダンゴムシの様な状態になると、耳から流れる音楽だけに集中する
「(後ろから誰かの息遣いがする)」
しかし家には誰も居ない
聞こえるのは鳴き止まない蝉の声だけだ
外は夕焼けに染まり始めているが、夕食の準備をするつもりはないらしい
「(骨がひずむ音がする)」
「(いらなかったのは、)」
彼の思考は浮いては沈み、その間はぷつりと途切れる様だ
「(あの時、あのまま)」
その思考のままに彼はうとうとと微睡む
『(父さんの声がする)』
…わたしの子よ、焼き尽くす献げ物の子羊はきっと神が備えてくださる…
…君を導いた夢の中で十字架につけられた贖い主の君は、取り巻く7つの光線に導かれ…
…唯一のものは、ライオンと7つの角と7つの目を持つ子…
『(俺は何を贖えば)』
着替えもしないまま横たわった彼は、また体に細かい振動を感じて
夢の中から意識を引き上げた
それはズボンのポケットに入れたままだった携帯からだろう
彼はそれを抜き取ると、畳の上に置き
また苦しそうに体を縮こませる
畳の上で震える振動はピタリと止むが、彼はその動作が見られていた事を知らない
それはじっと動かないまま、黒い影を彼に落とし
届いていないであろうが汐路に声をかける
「…僕を無視するなんて、いい度胸だね」
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作者名：ゆきみ大福 | 作成日時：2020年10月20日 17時
