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30:夏を生きる ページ31

【緑黄色社会】

あと5日で夏休みが終わる

恭弥くんが遊びに来て、それからは変わり映えの無い毎日を過ごした

変わった事といえば携帯を持ってる事

恭弥くんのお古で食事と一泊のお礼、あと探すの面倒だから、らしい

気にせずに使えと言われたけど、連絡先は恭弥くんのだけだし、特に使う事もないし

「(携帯といえば)」

渡しそびれたランボさんの服返しに行こう


呼び鈴が鳴ったから、俺は軽く返事をしながら玄関の扉を開ける


「し、汐路くん!?」
「こんにちは」

目の前には彼がいて、また笑顔でひらひらと手を振っている

「(な、何が起きてるの!)」
「これ前に渡しそびれて、返すタイミング無くて」
「えっ!?何を!?」

洗ってあると手渡された紙袋の中に牛柄が見える

遅れた迷惑料と渡されたのはケーキの箱と焼き菓子が入った袋

「え?」
「うん?」

思わず素っ頓狂な声を上げると、汐路くんも驚いた様に声を上げる

そのまま俺が固まっていれば、汐路くんは前みたいに困った表情になっていく

違う、そうじゃなくて、と口に出る前に彼の腕を掴んでいた

「上がっていって!」

強くと室内に引っ張ると、彼からまた驚いた様な声がした

けど引き下がったらダメな気がする

ひとまずリビングテーブルの椅子に座ってもらい、お茶をだして何のことか話を聞く

「(ランボが迷惑かけてたのか!)」
「まぁ、それで?」
「…なんかごめんね」
「俺こそ迷惑かけたみたいで、色々ごめん」

俺の弟だと思たと彼は笑っているけど
反応が食い違ってた理由がよく分かった


「そうだ!ちょっと待ってて!」
「うん?」

驚いている汐路くんを置いて、俺は自分の部屋に向かう

そしてずっと渡せなかった物を持って、リビングへと戻った

「これ、ずっと渡したくて」

座ったままの彼に封筒を突き出す

躊躇いがちに受けとった汐路くんはその中身を取り出して確認すると、明るく笑った

「これ!入学式の時の写真!」
「俺も、渡しそびれて…」

汐路くんて、こんな風に笑うんだ

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作者名:ゆきみ大福 | 作成日時:2020年10月20日 17時

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