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03:let it ride ページ4

【シュータスエヨシ】

「(中学生かー、どうせまたおれはダメダメなんだろうな)」

そんな事を考えながらベットから出ると、クローゼットには今日から着る制服
アイロンをかけたシャツと一緒に掛けてある

ふとネクタイを探すとテーブルに置いたカバンと一緒にあった

「(忘れない様に置いた事を忘れてた!)」

昨日の夜のうちに俺がやった事なのに、それすら忘れてるなんて
これから始まる学生生活も俺と同じダメダメだろうと思えた


「(早めに準備してみよう)」

部屋を出て階段を降りると、母さんの喜ぶ声が聞こえて恥ずかしい

まだまだ余裕の時間に学校の前に着いて、母さんが正門の看板と俺が並んだ写真を撮りたいって言うから
恥ずかしいだの目立つから嫌だの、少しだけ言い合いをしてた

そうしたら同じ制服でもとても目を惹く人が、俺達を一瞬見てから横を通って行く

「(男子の制服、結んだ金髪、青い目)」
「ねぇ!あなたも新入生?」
「えっ?ちょっ、母さん!」

母さんは駆け寄って彼に話かけた、俺の引き止める声は聞こえてるはずだけど

一瞬、彼の肩が跳ねたかと思うと、イヤホンを外して
そしてその眼差しが母さんに、それから俺に向けられて恥ずかしい

「(いきなり声かけてきた変なやつって思われる!)」
「どうかしましたか?」

彼と母さんは何やら楽しそうに話始めて
2人してじっと俺の方を見た


「(こっち来た!)」

距離を近めて来る彼、もう真横まで来たと思った

その時、俺は恥ずかしくて俯いていたら、肩を組まれた感覚
反射的に顔を上げて横を見ると、彼が笑顔で立ってた

「(笑われてるー!)」
「俺は藤城汐路、はじめまして」
「お、俺は沢田綱吉っ」
「綱吉ね、よろしく」

勢いで自己紹介したら俺の声は緊張しきっていて、でも彼は自然に返してくれた

「ツーっくーん!写真撮らせてー!」
「写真嫌がるなら、俺も一緒ならいっかなーみたいな?」

母さんの呼ぶ声と、笑顔で言う彼
ビビリの俺からしたら考えられないけど、いいんじゃないかなって思えた

そんな俺たちを見た母さんは笑顔で、入学式の看板から少し離れてカメラを構えてる

「早く撮って貰おうか、お母様待ってるし」
「う、うんっ!」

小走りに看板をはさんで並んだ俺と彼
それを見た母さんは小さく笑って、カメラを覗き込んだ

シャッターが降りる軽やかな音
なんだかその時、すごく心地よく聞こえた

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作者名:ゆきみ大福 | 作成日時:2020年10月20日 17時

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