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「……アイツ、大丈夫なのか」


AAが出て行った扉を見つめながら、糸師冴がぽつりとそう零したのに驚き目を見開いた。……この男、人の心配なんぞ出来たのか。

まあでも気にするのも当然か。なんせ彼女がいなければあの場にいたアンリちゃんや彼ら2人は確実に死んでいたのだ。そんな危険な状況で人質とも言えよう3人を守り抜き帰還した彼女は痛みをおくびにも出さなかったが何と肋骨を折っていたとまで言う。流石の士道もうげぇ、と片腹を抱えるくらいには驚きだったようで。
ただ当の本人は既に部屋を出て高専とかいう場所に向かったのだろう、ここにはいない為この糸師冴の質問に答える人間は1人しかいない。


「普通大丈夫じゃないです」

「人間、骨折ってあんなスタスタ歩けんの??」

「普通無理です。でもあの子は普通じゃないので」


呪術師というのはイかれてる奴ほど強い。彼女自身が俺に説いた言葉である。
まさに特大ブーメラン、彼女こそイかれてるという言葉がぴったりな人間はいないだろうと、今日のあの子の様子を見て思う。
でもたかが数か月の関係値で大層なことがわかるわけでもない。だからこそ彼女の代わりにとやってきた、恐らく彼女の上司的な存在であろうその男の話を聞く。


「彼女は齢15歳にして1級術師への打診を受けるという前代未聞の天才です。……ああ、術師には位がありましてね。1級術師というのは現在呪術師の位の中でも例外を除き最高位の階級です」

「何か漫画みてーな話〜」

「コミックなら良かったんですがね……なんせこの仕事、四肢がもげることもあれば死ぬことも勿論、死体すら残らないことがデフォルトですよ。憧れるのは絶対にやめた方がいい」

「……あれ見て誰が憧れんだよ……」

「それはそう。俺ももう勘弁! あんな気持ちわりーの思い出したくもないし!」


この2人は地下で何を見たのだろうか。Aちゃんから聞いていた話によると、呪霊は人の恐怖心などから生まれるらしいのであまり詳細は聞かないようにしている。そのせいで彼らに余計なことを思い出させるわけにもいかないので。

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綾人 - コメントに返信ありがとうございます。今回も面白さや文章力が爆発してますね!そして今回も私の好きなキャラがいるなんて!士道や冴や愛空がいて、セリフがなくても存在しているということが嬉しいです。今後も私が楽しみにしている作品を続けてもらえると嬉しいです (7月30日 11時) (レス) @page44 id: 37a56df5f0 (このIDを非表示/違反報告)
ことこと(プロフ) - 綾人さん» コメントありがとうございます!身に余るお言葉とてもとても嬉しいです……!今後とも今作品をどうぞよろしくお願いいたします。 (7月30日 10時) (レス) id: fe3705f0cd (このIDを非表示/違反報告)
綾人 - コメント失礼します。作家さんかと思うくらい、文章の構成も表現も凄くて、何より二つの作品をここまで綺麗に一つの作品に出来るのか!?という驚きもあります、これからも作者さんはもちろん、この作品も応援させていただきます。無理せず頑張ってください。 (7月29日 22時) (レス) @page41 id: 37a56df5f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ことこと | 作成日時:2023年6月9日 21時

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