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……帰ってこないな。
ぶっ飛ばした特級呪霊は壁を貫通し暗闇の中に消える。そのまま1分程度経ったが帰ってくる気配がない。可笑しいな、吹っ飛ばされた怒りから突撃くらいしてくると思ったのに。
肩慣らしに初めて使う游雲を回しているとふっと、そこら中に充満していた濃い呪いの気配がさっぱりと消えてしまった。……逃げた!?
「……そんな。追い詰めてる手応えはなかったのに……」
正直特級呪霊はまだまだ余裕があった。たとえ特級呪具の游雲であってもそれに殴られた程度で逃げに転じるとは思っていなかったので誤算だと歯軋りをする。
ゆっくりと部屋を出て視線を地下の出入口に向ける。帳も綺麗になくなっていた。
「……ねえ、スマホ持ってない?」
完全に呪霊は逃げたようだと判断し部屋にいた3人に振り返りそう尋ねる。3人は突然の語りかけに一瞬反応がなかったもののいち早く復活した凛のお兄さん……冴さんがポケットから取り出したスマホを受け取った。
緊急の番号入力画面から万が一の為にと覚えるよう言われていた番号を打ち込み耳に当てた。
「はぁいサトコですっ!」
「……Aです」
「A? あれ、携帯番号違くない?」
「スマホ壊れました」
「もしかして何か殺りあってた?」
「……特級の出現、会敵……けど、逃しました」
端的にそう伝えると電話の向こうの彼は朗らかな声色を瞬時に切り替え仕事モードに入ったようだった。
「死人は?」
「ゼロです。ただケアは必要かと」
「オッケーよく頑張った。僕はそっち行けないから代わりを寄越すよ。被害状況と呪霊の特徴諸々纏めといて」
「はい」
「……Aは? 平気?」
「かすり傷程度です。欠損もなく済みました。……呪力空っぽですけど」
「はは、游雲使ったのもしかして君? そりゃすっからかんにもなるよ」
そんじゃ後は助っ人到着まで対応お願いね。
そう言って切られた通話に一気に体が脱力してその場に座り込んだ。
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綾人 - コメントに返信ありがとうございます。今回も面白さや文章力が爆発してますね！そして今回も私の好きなキャラがいるなんて！士道や冴や愛空がいて、セリフがなくても存在しているということが嬉しいです。今後も私が楽しみにしている作品を続けてもらえると嬉しいです (7月30日 11時) (
レス) @page44 id: 37a56df5f0 (このIDを非表示/違反報告)
ことこと(プロフ) - 綾人さん» コメントありがとうございます！身に余るお言葉とてもとても嬉しいです……！今後とも今作品をどうぞよろしくお願いいたします。 (7月30日 10時) (レス) id: fe3705f0cd (このIDを非表示/違反報告)
綾人 - コメント失礼します。作家さんかと思うくらい、文章の構成も表現も凄くて、何より二つの作品をここまで綺麗に一つの作品に出来るのか！？という驚きもあります、これからも作者さんはもちろん、この作品も応援させていただきます。無理せず頑張ってください。 (7月29日 22時) (レス) @page41 id: 37a56df5f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことこと | 作成日時：2023年6月9日 21時
