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「……うん。美味しいもの食べたら、元気出た」
心配そうに私の顔を覗き込んでくる豹馬にありがとうと言えば、ふっと笑ってどういたしましてと返される。彼らも自分のことで精いっぱいのはずなのに、優しいなぁ。とってもいい人たち、目標に直向きでその瞳を誰もが轟々と燃やしている。……それを見ると、一層気合が入る。
サッカーに限らずスポーツ観戦というのは基本、それぞれのチームにサポーターがいて、結果どちらかが勝ってどちらかが負ける。負けた側のサポーターは当然、悔しさや虚しさや、怒り。そういった負の感情を排出するだろう。そうなるとこの土地にとってそれは格好の餌となる。
今度の試合、まず呪霊被害は必ず起きる。私はそう確信している。万単位の観客の動員により引き起こされる被害は正直想定できない。コトリバコの影響ありきではあったものの一度は特級も出現している場所となると2級相当は大前提として、それが何体現れるかというレベルであろう。悠仁と真希先輩、そして私の三人で手を回すには施設規模も大きい。……怪我人は免れないかもしれない。それでもやはり、割り切れない性分で。
彼らのサッカーはすごい。だからこそ呪霊なんてものに気を取られず、怖れをなさず、彼らのことに夢中になってほしい。そう思うから、私はそのために頑張ろうと思うのだ。彼らの為、彼らのサッカーを見てほしいという、私の願いの元。その為ならばどれだけでも無茶をしてやる。だから。
「私の心配はしなくていい。その代わり、絶対に勝ってね」
「! ……当然!!」
「明日にゃAさんのことぜってー捕まえるし!」
「Aちゃんに頼まれちゃ断れないね!」
ぐっと握った拳を突き出せば、世一が真っ先に拳をぶつけて。その後豹馬、そして廻。かと思えばさらに隣から身を乗り出してきた蘭世や乙夜も拳をぶつけてくる。それを見てか周辺どころか食堂にいたメンバー全員に囲まれてもみくちゃにされて。え、え、と困惑していると廻に拳を上にあげるよう言われたので大人しく従う。すると男の子特有のうぇーいという掛け声の元皆の拳が軽く手にぶつかった。
「はは、Aさん大人気!」
「わ、」
「A監督に言われちゃ気合も入るってもんやろ」
「Aさんにトレーニングしてもらっておいて負けるとかねーから!」
旅人や怜王までそう言って気合十分だ。試合まで一週間を切った今、皆のその真剣な眼差しに思わず背筋をぴんと伸ばした。
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綾人 - コメントに返信ありがとうございます。今回も面白さや文章力が爆発してますね！そして今回も私の好きなキャラがいるなんて！士道や冴や愛空がいて、セリフがなくても存在しているということが嬉しいです。今後も私が楽しみにしている作品を続けてもらえると嬉しいです (7月30日 11時) (
レス) @page44 id: 37a56df5f0 (このIDを非表示/違反報告)
ことこと(プロフ) - 綾人さん» コメントありがとうございます！身に余るお言葉とてもとても嬉しいです……！今後とも今作品をどうぞよろしくお願いいたします。 (7月30日 10時) (レス) id: fe3705f0cd (このIDを非表示/違反報告)
綾人 - コメント失礼します。作家さんかと思うくらい、文章の構成も表現も凄くて、何より二つの作品をここまで綺麗に一つの作品に出来るのか！？という驚きもあります、これからも作者さんはもちろん、この作品も応援させていただきます。無理せず頑張ってください。 (7月29日 22時) (レス) @page41 id: 37a56df5f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことこと | 作成日時：2023年6月9日 21時
