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モニタールームから地下への階段までを呪力で強化した足で全力疾走して、その目的地を勢いよく飛び降り扉が開いていることを確認した。……鍵をかけている、はずなのに。
やはり彼女はここに入り込んでしまったのだと意を決して私の扉を開けた。ガコン、という大きな音と共に重い扉は開く。
地下にあるのは予備の備品類や仕置室だけ。そんなに広い訳では無い一通の廊下。天井もメインの1階2階に比べても狭い。
扉を閉め、その薄暗い廊下を今度は歩いて探る。
呪いの気配はブルーロック自体と差程変わらない。多少濃くはなったが特級ほどのものは感じない。部屋を1つずつ見ていくけど特段変化もない。備品の置かれた部屋も荒らされた形跡どころかホコリすらかぶっている。
……結局彼女は見つからなかった。それどころか不自然なくらいに呪霊がいない。
不気味な空間だ。ホーンテッドブルーロックにしては、ありえないくらいの静けさに地下からモニタールームへ戻る間もずっと考えていた。
補助監督が何の報告もなくに調査へ入ると思えない。きっと地下で何かあったに違いない。でも彼女どころか呪霊もいなくて……まるで神隠しのように消えてしまった。
モニタールームに帰るとアンリさんが正面からがばりと抱きついてきたのを受け止める。
「も、も〜!! 突然走り出して行くからビックリしましたよ!!」
「い、急ぐ必要があったから……」
「おかえり。いた?」
コツコツとこちらに歩み寄ってきたのは甚八さんだけだ。凛のお兄さんはと辺りを見回したけどいない。どうやら帰ったらしい。その意図に気づいたのか甚八さんは、彼ならちゃんとブルーロックから出たよと教えてくれた。
「それで? 例の補助うんたらは?」
「……いなかった。それどころかおかしいくらい、呪霊もいなくて……」
「でもあの映像の後あの方が出てきた映像はありませんよ!?」
「そう……まるで、神隠しみたいに消えた……」
「……それも呪いのせいって訳か……」
「……今、別の補助監督に呪物について調べてもらってる。あと2日程度で報告が上がるはず……」
「まあ地下は使うことも特段ないし、不必要に近づかないようにくらいは勧告しておこう」
ガリガリと頭をかいた甚八さんに礼を言ってスマホを確認する。まだ連絡は無い。やはり調査には少し時間が掛かるらしい。
兎にも角にも今後は地下のパトロールもしていかねばならない。……最悪の事態にならないためにも。
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タキタカ(プロフ) - 「へぇ。俺そういう映画とか見たことないから知らないや。というかさっきからオシャさん何ぼーっとしてんの?」 「……オシャ!!!」 「何!?!?」 〜「何て……??」ここで声出して笑いました。面白いです! (9月17日 22時) (レス) @page22 id: baee95592f (このIDを非表示/違反報告)
ことこと(プロフ) - ぐらす。さん» コメントありがとうございます!pixivの方でもお読みいただき光栄です。今後とも是非、よろしくお願いします! (5月24日 9時) (レス) id: fe3705f0cd (このIDを非表示/違反報告)
ぐらす。(プロフ) - pixivでもこの作品見てました。やっぱり面白くて好きです。pixivのほうでも無理しない程度に頑張ってください! (5月22日 17時) (レス) id: 6255010be3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことこと | 作成日時:2023年5月15日 18時