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だけどこんな時の為にと用意したものがある。


「はい、あげる」

「は? ……いらねえ」

「受け取って」

「いらねえっつってんだろ」

「受け取れ」

「……なんなんだコレ」


彼に小さな布袋を渡した。
重量のあるそれを彼の傍に置いて絶対に部屋に持ち帰るようにと念を押す。


「中身は小豆。食べれないからね」

「小豆? ……んなもんどうするっていうんだ」

「小豆には昔から、魔や邪を祓う力があると言われているの。……受け売りだけど」


補助監督さんの中にはそう言った知識が豊富な人間も数多くいる。そんな補助監督さんの1人に聞いたものである。
小豆の赤色には悪いものを寄せ付けない力があると言われているらしい。お彼岸におはぎや牡丹餅を食べるのもそう言った経緯があるからと聞く。特に小豆の効力に関しては中国や韓国でも広く知られている、業界にとっては割とポピュラーな魔除けなのだ。

ま、呪霊に効くかどうかは知らないけど。


「またそれか……呪術師だか何だか知らないが俺の邪魔をするな」

「それを言うならあなたこそ私の邪魔をしないで」

「あ?」

「私の事信用してないのは分かるけど、これが私の仕事なの。……私には、あなたたちを見殺しにできるような無慈悲さは持ち合わせてない」


年間、数えきれない程の不審死が起きる。そのほとんどが呪霊による被害だ。もちろん我々呪術師は非術師を守るべく努力はするが届かないときだってある。でも今このブルーロック内は私のテリトリー、手の届く範囲。だけど彼の様にそのテリトリーから逃げられてしまえば、万が一の際私は彼を助けられない。……届くはずの手が届かないなんて、そんなの嫌だ。


「無茶なお願いをしているわけじゃないんだから、言うことを聞いて」

「……」

「……サッカー以外で死んでもいいの」

「! ……チッ、口うるさい奴だな」


徐に立ち上がった糸師くんは小豆の入った布袋を片手に備品の片づけに入る。

それを見てふうと息をついて安堵した。


のも、束の間であった。

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タキタカ(プロフ) - 「へぇ。俺そういう映画とか見たことないから知らないや。というかさっきからオシャさん何ぼーっとしてんの?」 「……オシャ!!!」 「何!?!?」 〜「何て……??」ここで声出して笑いました。面白いです! (9月17日 22時) (レス) @page22 id: baee95592f (このIDを非表示/違反報告)
ことこと(プロフ) - ぐらす。さん» コメントありがとうございます!pixivの方でもお読みいただき光栄です。今後とも是非、よろしくお願いします! (5月24日 9時) (レス) id: fe3705f0cd (このIDを非表示/違反報告)
ぐらす。(プロフ) - pixivでもこの作品見てました。やっぱり面白くて好きです。pixivのほうでも無理しない程度に頑張ってください! (5月22日 17時) (レス) id: 6255010be3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ことこと | 作成日時:2023年5月15日 18時

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