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ぺこりと会釈をして食堂を出た。持っていたスマホですぐにアンリさんにメッセージを送る。千切……千切豹馬。彼は今どこにいますか、と。

返事は直ぐに返ってきた。3rdステージ用のチーム部屋。
少し駆け足になりながらそちらに向かう。そろそろ21:00を迎える。まだ寝るまでは時間があるので大丈夫だろうが、もし今夜中に追いつかれてしまったらどうなるか分からない。
今日カタをつけたいところである。

3rdステージ選手用の部屋の中から千切豹馬のいる部屋を見つける。ここか、とノックをすると扉を開けて出てきたのは紫髪の男の子。確かこの人も会ったことが……


「あれ。君は前に廊下で……」

「こんばんは」

「……何か用ですか」


丁寧な口調で対応してくれるのは以前サボりの凪くんを追いかけて階段を駆け下りてきた御影玲王くん。そういえばアンリさんが、凪くんは彼に誘われてサッカーを始めたとか何とか言っていたような。
不思議そうな様子で私の言葉を待つ御影くんに、その様子が気になったのか部屋にいた他2名も扉の方へと近づいてきた。元チームZ、國神錬介。そして、件の彼千切豹馬。


「あ、霊能者の子だ」

「霊能者?」

「こんばんは。お久しぶりです」

「あの時はありがとうな。ロッカー勝手に開くこともなくなって五十嵐が煩いのも治まってさ」

「それは良かった」

「は、話が読めねぇんだけど。誰?」


御影くんが困惑している為名乗っておく。AA、呪術師だと。


「呪術師……!」

「え、お前呪術師って何か知ってんの?」

「ああ、両親が世話になってたときがあってな」


それならば話は早い。仕事をしに来たと一言言えば彼は目を見開きながらも私を部屋の中へと招き入れてくれた。

御影玲王、確か御影コーポレーションの御曹司。親は所謂権力者だ。人と接する機会も多ければ人に向けられる念の数も多いだろう。その中にそういう類の念が……呪いが混ざることも容易に想像できよう。もしも呪われた両親の姿を見ているのだとすれば彼は我々の仕事についてもどういうものなのか察しが付くだろう。


「この部屋何かあるんですか? 今のところ不調ないですけど」


國神くんがそう言った。この部屋には何もないよと、ぐるりと一周部屋の中を見回して言う。
部屋には何もない。だけど一つだけ明らかにおかしいものは、ある。


「千切くん。呪われてる」

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タキタカ(プロフ) - 「へぇ。俺そういう映画とか見たことないから知らないや。というかさっきからオシャさん何ぼーっとしてんの?」 「……オシャ!!!」 「何!?!?」 〜「何て……??」ここで声出して笑いました。面白いです! (9月17日 22時) (レス) @page22 id: baee95592f (このIDを非表示/違反報告)
ことこと(プロフ) - ぐらす。さん» コメントありがとうございます!pixivの方でもお読みいただき光栄です。今後とも是非、よろしくお願いします! (5月24日 9時) (レス) id: fe3705f0cd (このIDを非表示/違反報告)
ぐらす。(プロフ) - pixivでもこの作品見てました。やっぱり面白くて好きです。pixivのほうでも無理しない程度に頑張ってください! (5月22日 17時) (レス) id: 6255010be3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ことこと | 作成日時:2023年5月15日 18時

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