短編集《JW》

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pink side



変だな、とはずっと思っていた。

会話は普通通りなのに、なんか違う。

言いようの無い不安がずっと心にあったから、それを消すみたいに甘えて。

ずっと一緒におってなって言った時も、返事はくれなかった。




寝返りを打とうとした時、隣に温もりがないことに気がついて。


ローテーブルのところに座って何かしてる流星が目に入る。

置かれているのは、俺が18の時に婚約指輪の真似事で買ったお揃いのシルバーリング。


そういうことか、って漸く納得した。




「なんで？俺の事嫌いになったん？」


「……ちゃうよ。好きやから。…好きやから、お前には普通の幸せ掴んで欲しいんや。」


普通の幸せ掴んで欲しい、だなんて立派な事言っておきながら下手くそな笑顔見せちゃって。


「望が20歳になったら、別れようってずっと決めててん。今やったら、まだやり直しがきくから。
…結婚も子供も出来ひん俺と付き合ってても普通の幸せは叶えられへんから。」


「……アホちゃう？ほんまに。」


俺が一緒にいたいのは、小さくて可愛らしい女の子やなくて


見た目はめっちゃクールそうやのに、アホで、天然で、意外とおしゃべりで、優しくて


身長が180cm越えてて、ゴツいアクセサリーとかが好きで、ケータイないと生きていけんような、そんなやつで。



「俺が好きなんは藤井流星たった一人や！別にお前が隣におったらあとなんも要らんし!!
俺の事好きなんやったら、…好きなやつの考えてる事ぐらい、分かっとけやバーカ!!!!」


後から後から流れ出る涙。


絶対明日目ぇパンパンに腫れ上がっとるわ。

……最悪。

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