短編集《JW》

君しか要らない〈青×桃〉 ページ15

blue side





これが、きっと最後やから。







「望、改めて誕生日おめでとう」


「改めてありがとうございます笑」


屈託のない表情で、嬉しそうに笑う。


望の20歳の誕生日。メンバーで祝ったあと、望の家で2人きり。


気を使ってくれたんか、「2人っきりでイチャついて来い、リア充が!!」という優しいのか貶めてるのか分からない言葉と共に2人で先に帰らされた。


主役のおらん誕生会とかもはや飲み会と何がちがうんやろか。


まあ、ありがたい気遣いのお陰で、今年も2人で祝えてるわけやけど。







望とはJrの時からやから、付き合って結構経つ。


毎年毎年、2人で過ごした今日この日も、きっとこれが最後。



『望が20歳になったら別れて、ちゃんとした道を歩ませてあげる』


これが、俺が20歳になった時に決めたマイルール。


20歳になったからって、急に大人になるわけやないけど、今やったらまだやり直しが効くから。


もともと、俺はどっちでもいけるってやつやって、望はバリバリのノンケ。



「流星やったらええよ」って望が俺に笑って言ってくれたあの日から、俺は望の未来を潰しちゃってたわけで。


元々女の子が好きなんやから、元々の道に戻してあげる。





……それが、きっと、俺が望に恋人として、してあげられる最後の事やから。

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