【男主／中編小説】ねぇ、ヒョン。 (ページ41)

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Overdose 39 ページ41

《ヒョンジンside 》

スンミナを見送り、事務所の収録ルームに閉じこもった。
本当に一人になれて誰も邪魔にこない場所。

自室だと変に心配してくれる人達のおかげで落ち込むにも落ち込めないから。

ソファに倒れ込むように座った。

脳裏に浮かぶのリノヒョンに呼び出されたAの姿ばかりだった。

胸の奥がギュッと締め付けられる。
チクチクと痛くて、ドロッとした黒い感情が身体を重くした。

Aの心にはリノヒョンが居て、俺の心にはAが居て……。

そして、ヒョンの心には……Aが居る。

｢はは……バカみたい｣

どう見ても俺の負け。
負け戦中に感情が高ぶった俺が、ズルい言葉と行動でAを丸め込んだだけ。

Aの事は本当に大好きで、愛してるのに。
その愛を吐き出せば吐き出す程、自分が惨めに感じてしまう。

━ ちゃんと決断しなよ。Aを繋ぎ止めとくのか……悪者役をしてリノヒョンとくっつけるのか。

スンミナに言われた言葉を思い出す。

Aをこのまま繋ぎ止めた場合……俺はおかしくなってしまうかもしれない。

Aの事が好きすぎて、愛しすぎて…メンバーですら嫉妬をしてしまう程に執着するかもしれない。

いや、現段階でスンミナに追わせた事を少し後悔してるくらいにはもうおかしくなってきてる。

Aがリノヒョンへの気持ちが冷めるのが早いか……俺がおかしくなるのが早いか、考えてみても後者が早いのがわかる。

Aはヒョンに憧れてた。
事務所を移動するのも付いてきたくらいに。

今の事務所で近くに居ることが増えて、恋愛感情だって事に気づけたんだ。

きっと、Aとリノヒョンは結ばれる運命なんだと思う。

いつの間に泣いてたのか、頬をつたう涙に思わず笑えた。

━ A、その気持ちってね、恋愛感情での好きって事だよ。

本当に馬鹿みたい。

リノヒョンの気持ちに気づかせたのは紛れもない自分の癖に。