Overdose 37 ページ39
《 Aside 》
深く頭を下げてきたヒョンに何も言えない。
このままじゃ泣いてしまうと思い僕はその場から何も言わずに逃げた。
人気の無い階段を急いで下って、外に出た。
誰も通らないような裏路地で僕は小さくしゃがみこむ。
苦しい。苦しいよ。
なんで謝ってきたの？
なんで頭を下げたの。
本当にヒョンは、僕のことを気持ち悪いなんて思ってなかったの？
じゃあ、なんであんなこと言ったの。
さっきまで我慢できていた涙が止まらない。
｢ｯﾋｯｸ、っ｣
僕は、僕はどうしたらいい？
｢A、何してるの？｣
｢！｣
｢…泣いてるの？｣
こんな誰も来そうに無い場所になぜかスンミナがいた。
｢…スン、ミナ｣
｢どうしたの？お腹痛い？｣
スンミナは慌てて近寄ってきた。
お腹が痛いと勘違いしたのかしゃがんで優しく背中を撫でてくれる。
スンミナの優しさにまた涙が出てきた。
｢わー、泣かないで。腹痛の薬持ってこようか？｣
｢ううん、いい｣
｢……リノヒョンのこと？｣
スンミナの言葉に思わず肩が跳ねる。
なんで、知ってるの？
｢はぁ。わかりやすいね、Aって｣
｢…スンミナ、なんで｣
｢ちなみに、ヒョンジナと付き合ってるのも知ってるよ｣
｢え！｣
なんで？ヒョンジンが言ったのかな？
｢…それにAがリノヒョンのことを好きなことも知ってる｣
｢！！！｣
思わずスンミナを凝視してしまった。
｢ヒョンジンから聞いたわけじゃないよ。勘。それで観察してたら分かりやすく反応するから確信しただけ。｣
｢…スンミナって…探偵か何かなの？｣
｢はは……違うけど。強いて言うなら、仲介人？かな｣
｢？？｣
スンミナの言葉は理解ができなかった。
｢ねぇ、A。……本当はどうしたいの｣
突然投げかけられた言葉に思考が停止する。
ずっと1人で自問自答していた言葉だからだった。
考えても出ない答え。
僕はどうしたいの？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 469人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：山田 | 作成日時：2023年2月7日 0時
