Overdose 36 ページ38
《 リノside 》
熱愛報道は結局、俺に似た俳優だったらしい。
事務所がモデルの方の事務所に確認が取れて両社から違う旨の報告がされた。
確認が取れたおかげで、ようやく俺はメンバー達の元に戻れた。
これで一安心できると思ってた。
久しぶりに皆に会えた時は凄く嬉しかった。
ぎこちないけどAからもおかえりの言葉を貰えた。
Aへの気持ちに気づいてから早く会いたかった。
顔を見た瞬間、アレ？Aってこんなに可愛かったっけ？ってなった。
こんな子に俺は今まで酷いことをしてきちゃったんだって後悔をした。
｢A、この後少しいい？｣
｢ぇ…う、うん｣
謝らなくちゃ。
Aに酷いことを言っちゃったこと。
今までのことも。
そう思ってAを呼び出した。
奥の方でヒョンジンがコチラを凄く見ていたけど気にしない。
人気の少ない階段でAに頭を下げる。
｢え！？ひょ、ヒョン！？｣
｢ごめん、A｣
突然の事に理解できてない様子に俺は言葉を続けた。
｢俺が休む前、いや…今までお前に酷い事してた。この前の撮影の時も…その、お前に思ってもないこと言っちゃった。本当にごめん｣
｢…っ｣
｢謝って済むって思ってない…Aのこと凄く傷つけた事とか…この休み期間で凄く反省したんだ。だから…｣
前みたいにリノヒョンって呼んで欲しい。
一緒に居て欲しい。
｢ねぇ…ヒョンは、どんな思いで……あの言葉を言ったの｣
｢…｣
Aの顔は、悲しそうに歪んでいた。
｢あの、あのね…僕、ヒョンが言った通り……気持ち悪い人間なの。僕ね、男の人が好きなの｣
｢っ！｣
｢へへ…気持ち悪いでしょ？だからヒョンが前言ったこと、当たってるよ。その通りなんだ。だから、ヒョンは謝らなくていいよ。ヒョンが言ったことは間違ってないの｣
謝らなくていい、と言うAの目には必死に涙を堪えていた。
泣かないように必死に唇を噛み締めている姿に俺は胸が苦しくなる。
ああ、また。
また、俺はAにこんな顔をさせてしまってる。
｢A｣
｢っ……な、なに｣
零れそうな目をしっかり見て俺は息を整える。
好きだよ。
俺はお前のこと、ずっと好きだったみたい。
その言葉を素直に言えたら…どんなに楽になれるんだろうか。
｢……気持ち悪くない。俺のせいで傷つけて、本当にごめん｣
｢…｣
俺は頭を下げることしかできなかった。
Aは何も言わず、その場を立ち去った。
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作者名：山田 | 作成日時：2023年2月7日 0時
