【男主／中編小説】ねぇ、ヒョン。 (ページ4)

今日:34 hit、昨日:24 hit、合計:58,831 hit

Overdose 02 ページ4

《リノside 》

Aの部屋でアニメを見始めて早1時間は経った。

俺はベッド、Aは床に座っている。
よくみたらAの後頭部に寝癖がついていた。

本当に起きてすぐ部屋片付けて鍵を開けていてくれたんだと思うと堪らない気持ちになる。

ピョンッと跳ねる寝癖を思わず触ってみる。
Aは慌てたように振り向いて目を白黒させていた。

「な、なに」

「え、寝癖ついてたから触った」

「驚かさないでよ〜」

ヘナヘナとした声で軽く膝を殴られた。

おい、俺はヒョンだぞ。

なんて思いながらワシャワシャと今度は頭を撫で回す。
ヒョンジンがイエナにやってるけど、コレちょっと楽しいかもしれない。

「わー、やめてよヒョン！」

「どうせ寝癖だらけなんだからいいじゃん」

ハナほどでは無いけど、頬をふくらませて不機嫌になるA。

かわいいと純粋に思った。

「髪の毛伸びたなお前」

「んー？うん、伸びた。てか、次のコンセプト的に伸ばさなきゃいけないみたい」

俺達アイドルは自由に髪を決めれない。
基本はある程度の要望は通るが、ビジュアル担当をする者はコンセプトにあわせた髪型へ強制的にしなきゃならない。

「ふーん。ヒョンジナやヨンボクよりも長いなコレ」

「もう地毛で肩下まできたからね」

「似合うからいいよ。ずっとこのままでいいんじゃない？」

「えーペン達もそれ言うけど、乾かすのが面倒だもん。昨日だってビニヒョンに乾かしてもらったし」

気だるそうにAは、クルクルと毛先を指で巻きながら言った。

俺そういうの日本のアニメで見たことある。
ギャルがやってるやつだ。

「毎日乾かしてもらってるの？」

「ん？ううん。週3くらい？ヒョンジナかビニヒョンがいつもしてくれる」

「ふーん」

なんだか面白くない。
宿舎が違うから仕方ないけど、Aに甘えられるのは俺だけで十分なのにって思ってしまう。

「A、今日からこっちの宿舎に引っ越そう」

「え！なんで！？…やだよ」

「週5で髪の毛乾かしてもらえるのに」

「いや絶対ヨンボクとかスンミナにさせる気じゃん」

「俺もしてやるよ。実家の弟達を洗ったらいつも乾かしてあげてるから」

「はいはい、無理だから続きのアニメ見よ」

Aに軽くあしらわれ、結局その日は終わった。

あーあ。
Aが俺以外に甘えてるのって本当に面白くない。