【男主／中編小説】ねぇ、ヒョン。 (ページ27)

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Overdose 25 ページ27

《リノside 》

俺が熱愛？そんなことするはずが無い。
だって、俺はプロアイドル。

ペンたちを悲しませる事は絶対にしない。

なのに、なんだ？この記事。
そもそも会ったこともないのにモデルとの密会ってなんだよ。

写真も俺に似てるけど、記事の日付は宿舎から出てない。
勿論、アリバイを証明する人は居ないけど。

でも、本当にこんな事俺がするわけない。

そうは言っても騒動が落ち着くまで俺は少しの間、実家で活動休止になってしまった。
何も悪いことなんてしてないのに。

事務所からも事実では無いという話は出されたが、騒動は火がついたばかりだ。
落ち着くには数日はかかりそうだった。

Aとは不仲になるし、意味のわからない熱愛は出て炎上はするし、なんで、俺ばかりこんな思いをしなきゃいけないんだ。

部屋に戻ってベッドに潜った。
気が重い。もう眠ったまま目覚めなきゃいいのに。

らしくも無い思考が頭を巡らせた。

もしAが俺のものだったら…きっと優しく抱きしめてくれて慰めてくれて…。

「はァ」

馬鹿らしい。そんな関係になるまえに断ち切ったのは俺じゃないか。

好きだと自覚するのも遅すぎた。
もうAを手に入れることはできない。

きっとヒョンジナと付き合っちゃって、幸せいっぱいに見せつけてくるんだろうな。

ムカつくな。

Aは俺が幸せにしたかった。
たくさん、甘やかして可愛がって…愛し合いたかった。

“まだ気づかないの？”

“Aに嫌われないようにね”

“素直じゃないんだから…”

今までメンバーから言われた言葉に乾いた笑いが出た。

なんだ。俺より先に周りのが気づいてたのか。
俺が気づかなかっただけで…俺は無意識にAを思っていたんだ。

「A…会いたいな」

自分以外、誰もいない自室に響く声。
Aに謝らなきゃ。

あの日のことも、今までのことも。

熱愛が収まれば皆にも会える。

「…トレーニングでもしよ」

部屋でできるトレーニングを動画で探して何とか考えないようにやり過ごした。