【男主／中編小説】ねぇ、ヒョン。 (ページ25)

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Overdose 23 ページ25

《ヒョンジンside 》

グズグズと泣き止まないAの背中を撫でながら過ごすのはもう何日目だろう？

大丈夫、大丈夫だよ、と励ましては赤くなる目を冷やしてあげる。

リノヒョンもAも本当に不器用だよね。
なんでこんなに愛し合ってるのにお互い気づかないんだろ。

俺が邪魔しなくたってこうやってリノヒョンに振り回さて泣き虫になるAを何度も慰めてきた。

「ヒョンジナ、だけだよ…頼れるの」

泣き止んだAがそう言った時、ようやくこの時がきたんだって思った。

ちまちまと作り上げた関係性。
Aからの絶対的信頼関係。

何かあればすぐに俺のところに来てくれるAに毎度の事ながら笑みがこぼれそうになる。

「リノヒョンはどうするの」

「……」

「諦めちゃうの？」

今、1番聞かれたくない話題をわざと出してみた。
Aの中でリノヒョンは憧れの存在で、大好きな存在で…
きっとそれ以上も踏まえて愛していた存在だってこと知ってるから。

ねぇ、知ってる？A。
ヒョンはAの事大好きなんだよ。
2人はとっくのとうに両思いなの。

まぁ、教えてあげないけどね。
だって、それは自分達で気づかなきゃいけないでしょ？

俺もそろそろAの泣き顔は見たくないかな。
自分で言うのもなんだけど、Aを笑顔にさせるのは俺じゃない。

「ヒョンとちゃんと話し合っておいでよ」

「無理…だよ。また気持ち悪いって言われちゃう」

「リノヒョンへの気持ちをいつまでも消せないんだったら、１回ぶつけてスッキリさせた方がいい」

「…」

「…もし、もしも……万が一の時があったらさ」

A、ごめん。
俺、やっぱりAが好きなんだ。

でも、それでも俺はAの幸せを1番願ってる。

「俺にしなよ」

「え？」

「…なーんてね！次のオフの日にでもリノヒョンと話し合って告白しないにしろ、ちゃんと今のこの関係は元に戻しとこ？じゃないと、しんどいのはAなんだから」

「う、うん。そうだね…ありがとうヒョンジナ」

目を赤くして笑うAを抱きしめる。

あーあ。
この温もりもあと少しで味わえなくなっちゃうのか。

少しの残念さと少しの寂しさを誤魔化すように抱きしめる力を強くした。