【男主／中編小説】ねぇ、ヒョン。 (ページ24)

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Overdose 22 ページ24

《リノside 》

こんなつもりじゃなかった。
俺は今、一生分の後悔をしてる気がする。

あんな酷いことを言いたいわけじゃなかった。
そもそも俺自身、Aにベタベタする癖によくヒョンジンやハナと絡むAに気持ち悪いなんて言えたもんだ。

数日間、Aとは仕事のこと以外関わることが無くなった。
幸い宿舎は別だから、思い詰めたようなAを見ずに済んだ。

ただ、気がかりなのはあっちの宿舎には、ヒョンジナとハナがいるってこと。

あの二人…もしかしてAに特別な気持ちがあるのかもしない。

それに気づいたのはココ最近の出来事。
勿論、この前の番組もそうだけどまずヒョンジナがAから離れなくなった。

何をするにもまるで俺から守るかのように間に入って、Aの視界に写さないようにしてるみたいに感じた。

次にハナ。あの日以来、Aにやたら絡んでる気がする。
俺が話しかけても、Aの話ばかりだ。

ムカつく。

あんなに酷いことを言ったくせに、周りがAに絡めば絡むほど苛立ちばかりうまれた。

こんな感情は、本当にはじめてだった。
思えば1年も前からこの感情に振り回されてる気がする。

募るストレスも、なぜかAと話せば関わればスっと消えていくから不思議だった。

「リノ、ヒョン」

「！」

バッと顔をあげれば酷いクマをつくったAがいた。
手には撮影スケジュールの細かな資料がある。

わざわざ俺に渡しにきてくれたんだ。
そう思うと胸がいっぱいになった。

触れたい。

そう思って資料ごとAの腕を掴む。

「っ」

乾いた音が響く。
Aに手を振りほどかれてしまった。

パサパサと落ちていく資料と怯えきったAの顔に自分がしてしまった事を再確認させられた。

「あ、ご、ごめんヒョン…えっと、またね」

「……」

声が出なかった。
あんなにも慕って、懐いてくれていたはずのAに初めて拒絶されたからだ。

足早に帰るAの背中を見えなくなるまで見守った。

「なんで…」

今更、気づいてしまった。

あぁ、俺……

Aの事、好きなんだ。