【男主／中編小説】ねぇ、ヒョン。 (ページ21)

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Overdose 19 ページ21

《 Aside 》

思えば最初から嫌な予感はしてた。
今日はなんだか起きそうな気がしてた。

ただ何事もなく、楽しく撮影が終わっていくから
そんな事なんてすっかり忘れちゃってた。

ハナとくっつく度にリノヒョンの視線は痛くて、
当て馬の僕は、僕なりに気にしないように過ごしていたはずだった。

心拍数ゲームでまさかハナが僕にキスをするなんて誰も思わなかったから、驚きしかなくて……

ハナって自分のためにココまでする人なんだっておもった。

実はリノヒョンがハナを気にっているんじゃなくて、ハナの方がリノヒョンをお気に入りなのかもしれない。

そうなれば余計、入る隙もなくて……
虚しくなった。

どんなに頑張っても、ヒョンの1番に僕はなれないんだ。

必死に泣きそうになるのを耐え、ハナのポッポを最後に撮影は終了した。

早く控室に帰りたい。
トイレでもいいから逃げたい。

いっぱいいっぱいになる心に早くその場を後にしようとした。

「……」

ハナと僕の横に影がきて、振り返れば今は見たくないリノヒョンの顔がそこにあった。

何か……怒ってる気がする。

「ぁ、リノヒョン」

「ヒョン？」

ずっと黙っているヒョンに話しかけた。
それが間違いだったのかもしれない。

「気持ち悪いことするなよ」

僕は息が出来なくなる。
ﾋｭｯと音にならない音が喉をひいた。

気持ち悪い。

脳内に響き渡る言葉。

それは僕のことを言ってるの？
僕がハナとポッポしたから？

それとも……僕自身がそうだと言ってるの？

「……ぁ、」

痛い。
痛い。

心が痛い。

僕は、僕が、汚いから、ヒョンに嫌われた。

ヒョンに気持ち悪がられた。

涙、止めなきゃ。
泣くのをやめなきゃ。

また気持ち悪いって言われる。