久しぶりの解体屋 ページ6
━ 蘭side
〜♪
Aに会いに事務所の地下へ降りれば梵天に似合わない優雅なクラシックが流れていた。
金属製の扉を開けばそこには手術着とゴム手袋を着けたAの姿。
視線の先にはまだ生きている様子のある女が1人。
可哀想にな。
気絶してれば楽に逝けたのに。
思ってもない思考と笑みが俺の中に生まれる。
Aは無邪気に買い直したばかりのメスやピンセット等を女に一つ一つ説明していた。
「コレはね、吸引器だよ。君のね、ここから沢山流れてる血を綺麗に吸い上げてあげる」
つーっと優しい手つきでAは女の首から胸までを撫でた。
そんな汚い女なんてさっさと殺ってしまえばいいのに。
扉にもたれ掛かり腕を組みながらその様子を見る。
解体中のAは本当に楽しそうだ。
新しいおもちゃを貰った子供みたいに無邪気に笑う。
普段は黒いマスクをして笑顔も作りあげてるのが殆どではあるが…まぁ最近はボスや三途と比べて俺たちにもよく笑ってくれるようにはなったか。
最近は竜胆の事がお気に入りの様だが。
クラシックにのせてAは器用に2つのメスを震えている女に刺す。その切れ味からして新調した仕事道具たち九井の見立てに間違いなかったようだ。
「ー!!ーーーー!!」
口を布で塞がれた女は何やら叫んでいる。
汚く涙や唾液を流しながら暴れてる“つもり”の様だ。
Aは“中身”が傷つく事を嫌う。
勿論、バイヤーに売る為に小さな傷一つ付けると値が下がるのもあるが、とにかく綺麗なまま保存する事が良いらしい。
俺にはいまいちよく分からない思考だったが要はゲーム感覚か、と1人納得したのは少し前の事。
その為、暴れないよう体の神経を一発で飛ばしてしまう薬を全身に打つのが基本だった。
勿論、合法では無いから量を間違えれば即死だ。
それを打たれている女は、見ての通り抗ってるようで首から下は全く動かせていない。
・
・
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段々とクラシックが静かに奏だした辺りで一層女の唸り声が響いた。
「シーッ」
Aはそっと人差し指を口元に立て、女の顔の前で静かにするよう促す。
「痛いね…大丈夫。オレがいるよ」
トントン、と優しく頭を撫でながらまるで子供を寝かしつけるように優しく叩く。
「…」
ああ、死んだかとピタリと止んだ唸り声がそれを物語った。
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作者名:消毒液 | 作成日時:2021年11月29日 1時