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104話「今日までのこと」 ページ22

"絶対離さない"

迷いのないその声は、私の不安を一気に取り払ってくれた。


天「俺を信じて。少しだけ、待っててほしい」
「うんっ…」
天「ありがとう。すぐにじゃなくて、ごめん」


頭を撫でてくれる天月くんの手は、細くて綺麗な指をしているけど、大きくて男らしい。


「あのっ…私は大丈夫。でも、天月くんが」


それより私が待つのはなんてことない。
その間、いろんな声が間違いなく彼の元へと届く。
辛いのは、天月くんだ。


天「俺のこと、心配してくれてるんだ?」
「当たり前だよ!」
天「やっぱりAは優しいなぁ。そういうとこ、大好きだよ」


それでも天月くんは、私に笑顔を向けてくれる。


天「…こうなったのは俺に責任があるし、誰になに言われたって受け止めなきゃいけないと思ってる。嫌な思いをさせたファンの人には申し訳なくも、思ってる。…でも」


そして、自信を持ってこう言った。











天「今日までのこと、何一つ後悔してないから」
































あの日からしばらく、家を出る時間をずらしたり、買い物へは1人で行くようにしたりした。

それとはまた別に天月くんはアルバムの収録や、ツアーが始まったりで何かと忙しくて、本当に一緒にいられるのは夜帰ってきてからの数時間。

それでも私にとってその時間が、今は何より大切だった。


「よしっ。お疲れ様でしたー」


週末、いつものように仕事を終えて裏口から出ると、病院前にマスクをつけた男性が立っていた。
見間違えるはずがない、私の大事な人。


「……あまっ…!」
天「あっ!お疲れっ」


思わず名前を呼んでしまいそうになるのをこらえて駆け寄った。


「ど、どうしてここに?」
天「リハが早めに終わってさ。それに、あと3日くらいだしいいかなって」


そう。彼が待ってほしいと言った日まで、あと3日。
本当にいいんだろうかと思う反面、このサプライズが、すごく嬉しい。


天「あとAと話したいことがあってさ」
「えっ?」


"とりあえず帰ろう"
そう言って笑うと、天月くんは私の荷物を取り上げ、歩き始めた。

105話「愛してる」→←特別編「下げてよ」



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れもん - 待って。この小説、めっちゃ面白かったです!!きゅんきゅん要素がわし好みにピッタリなんですよ!!神小説を書いて下さりありがとうございます!! (2020年4月9日 0時) (レス) id: 2f3420d886 (このIDを非表示/違反報告)
櫟丸。(プロフ) - 今まで読んできた中で一番です!何気にリアリティがあって、でも少しふわふわした夢のようなところもあったり。サイコーです!またこんなのを読みたいです! (2019年1月12日 7時) (レス) id: b67e91f69f (このIDを非表示/違反報告)
- 今までに無いほどめっちゃキュンキュンして、感動出来て、素晴らしい作品をありがとうございました。キュンキュンがヤバイです! (2018年7月17日 19時) (レス) id: 801da972da (このIDを非表示/違反報告)
優剣 - Camelliaさん» 最後までコメントずっとくださってありがとうございました…!そんな泣いてくださるほど読み入れてくださってすごく幸せです、ありがとうございます!!他の作品もですか!嬉しいですありがとうございます…!最後までお付き合いいただきこちらこそありがとうござ文字数 (2016年8月26日 1時) (レス) id: 798d17bde1 (このIDを非表示/違反報告)
優剣 - あいりんさん» はい!ありがとうございます!! (2016年8月26日 1時) (レス) id: 798d17bde1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:優剣 | 作成日時:2016年2月26日 12時

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