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91話「違うんだよ!」 ページ2

いつも天月くんと2人でいる空間に歌詞太郎さんと2人でいるって、なんかちょっと変な感じ。

それでもリビングから聴こえる歌詞太郎さんの歌とギターは、私を心地良い眠りへと誘ってくれた。







「ん…」

目を覚ましたのはそれから2時間経った頃。








伊「あっ!お、起こしちゃったかな」
「歌詞太郎、さん…」


目を開けると少し距離をとったところに、胡座をかいて座っている歌詞太郎さんがいた。
驚きながらも眠い目を擦り、身体を起こす。


伊「よ、よく寝られましたか?」
「はい。歌詞太郎さんの歌聴いてたらいつの間にか寝ちゃってました…」
伊「そっか!じゃあ弾き続けてた方が良かったかなっ」


そう言って少し嬉しそうに笑う歌詞太郎さん。
もしかして私が寝られないと思ってギター弾くのやめちゃった?


「あの、もし私のこと気にしてくださったのなら全然戻ってください!」
伊「いやっ、違うんだよ!僕がただ落ち着かなかっただけで」
「ほんとですか?」
伊「うん。大丈夫かなーって気になっちゃって、さ」
「で、でも一緒にいたら、風邪移しちゃうかもしれないです」
伊「大丈夫!そういうのには強い人間だから!そう簡単に風邪なんてもらわないよ」


彼は胸に手を当て、誇らしげにそう言った。
後に歌詞太郎さんに大熱が出てしまうことを、この時の私たちはまだ知らない。


伊「看病なんて大したことはできないけど、お水買ってきてたんです。喉渇いてませんか?」
「えっ、いただいていいんですか?」


私がそう聞くと"もちろん!"と声をあげ、固いペットボトルの蓋を少し開けてから私に渡してくれた。


「ありがとうございます……ん…」
伊「…Aさんって」


私が水に口をつけ、
歌詞太郎さんが何か言いかけた。

その時。








「ひゃっ!」
伊「だっ、大丈夫ですか!?」








急に部屋の明かりが落ちてしまった。

今日外では大風が吹いていて、その影響で停電してしまったのかもしれない。


「冷たっ…」


カーテンを閉めていたため部屋の中は真っ暗で、驚いた拍子に、私はペットボトルの水をこぼしてしまったのだ。


伊「た、タオル!」
「へっ?」


すると濡れた部分に触れられた感触、うっすら見える状況。
歌詞太郎さんが持っていたタオルで咄嗟に拭いてくれていた。

すごくありがたいんだけど、くすぐったがりの私は変な反応をしてしまいそうだ。





「あの、歌詞太郎さんっ…!」





天月くんが帰ってくるまで、あと3時間。

特別編「……キス、していい?」→←90話「あの人もイエローカード」



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れもん - 待って。この小説、めっちゃ面白かったです!!きゅんきゅん要素がわし好みにピッタリなんですよ!!神小説を書いて下さりありがとうございます!! (2020年4月9日 0時) (レス) id: 2f3420d886 (このIDを非表示/違反報告)
櫟丸。(プロフ) - 今まで読んできた中で一番です!何気にリアリティがあって、でも少しふわふわした夢のようなところもあったり。サイコーです!またこんなのを読みたいです! (2019年1月12日 7時) (レス) id: b67e91f69f (このIDを非表示/違反報告)
- 今までに無いほどめっちゃキュンキュンして、感動出来て、素晴らしい作品をありがとうございました。キュンキュンがヤバイです! (2018年7月17日 19時) (レス) id: 801da972da (このIDを非表示/違反報告)
優剣 - Camelliaさん» 最後までコメントずっとくださってありがとうございました…!そんな泣いてくださるほど読み入れてくださってすごく幸せです、ありがとうございます!!他の作品もですか!嬉しいですありがとうございます…!最後までお付き合いいただきこちらこそありがとうござ文字数 (2016年8月26日 1時) (レス) id: 798d17bde1 (このIDを非表示/違反報告)
優剣 - あいりんさん» はい!ありがとうございます!! (2016年8月26日 1時) (レス) id: 798d17bde1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:優剣 | 作成日時:2016年2月26日 12時

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