小雨 ページ16
それから皆の試合を見たり、
なぜかちょくちょく構いにくる皆と話したり・・・
あっという間に部活が終わる時間になった
みんな部室に着替えに行って、
待ってて、と言われた私は1人ぼーっとテニスコートを眺める
「・・・勇気」
竜崎先生に言われたことがぐるぐると頭を回っている
「あれ」
ポタ、と手のひらに落ちてくる雫
雨だ
天気予報は晴れだったのに
・・・あのときと同じ、予報外れの雨?
「っ」
やだな、思い出してきた
雨の音が怖くて、耳を塞いでしゃがみこむ
怖い、助けて誰か
光ーーー
ーーーー
「「「大丈夫か!?」」」
「ひか、る?」
手塚「・・・すまない、1人にしてしまったな」
「みんな・・・」
光じゃなくて、みんなだ
ここに光はいない
分かってるのに、私はまだ光に助けを求めてしまうんだな
河村「立てるかい?」
「っうん、ごめんね」
でも皆が来たってわかった瞬間、
心の底から安心した
大石「雨が降ってきたんだな。部室で雨宿りしていこうか」
ーーーー
部室
海堂くんがタオルを貸してくれる
・・・なんかいい匂いする気がする
「ありがとう、洗って返すね」
海堂「・・・いいすよ別に」
気にしないでください、という海堂くんだけど、
そんなわけにはいかない
越前「・・・で、大丈夫なんすか」
「そんな顔しないで。大丈夫だから」
菊丸「でも・・・」
みんな本気で心配してるって顔
まだ知り合ったばかりの私のことをこんなに考えてくれて、なんて優しいんだろう
乾「・・・俺たちに話せることなら、話してくれないか?」
桃城「そうっすよ!無理にとは言わないっすけど・・・」
話して、いいの?
この人たちは変わらずに接してくれるだろうか
腫れ物を触るように接して欲しいわけじゃない
もちろん同情もいらない
ただ、離れないでほしいだけ
突き放される辛さを私はよく知ってる
面倒くさい、お前に隙があった
そんなの痛いほど言われてきた
竜崎「A、こいつらは大丈夫だ。アタシが保障する」
・・・そっか、そうだよね
この人たちは、大丈夫だ
「・・・聞いてくれる?」
不二「もちろんだよ」
みんなが深く頷いてくれる
必要なのは勇気。
それと、
みんなに私の過去を知ってもらうこと。
ーーーー
「・・・雨が嫌いなの。こんな日は、1年前を思い出すから」
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MOMO(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張って下さい。 (2022年10月25日 16時) (レス) @page32 id: 086efc5a74 (このIDを非表示/違反報告)
牧(プロフ) - 毎日の楽しみです!財前とこれからどうなるのかもワクワクですね! (2022年9月4日 17時) (レス) id: 0d6f1959a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なち | 作成日時:2022年7月13日 22時