＊春野院〜みんな家族６〜＊

花のように＊4＊ ページ10

健人side


聡の家の中は平仮名がたくさん書いてある紙が至るところに張ってあった



母｢お母さんとひろに手…あわせて？｣


そう言って聡のお母さんは仏壇を指差した


健｢失礼します…｣

仏壇の前に座って手をあわせた



聡｢お母さん買い物ちゃんと買えた？｣

母｢うん^^｣

聡｢じゃあお母さんごはん作ってきて？｣

母｢わかった^^｣


お母さんがキッチンに行ってしまうと聡は俺に席を進めた


聡｢なんかごめん…ほんとにありがとう…｣

健｢いや…｣

聡｢お母さんね？お母さん障害があるんだ…生まれた時からずっと５､６歳程度の知能しかないし…決められたことはできても何か起きたらすぐパニックになる…｣

健｢そうなんだ…｣

聡｢僕が生まれた頃はね？おばあちゃんがいて…お父さんがいた…５人で暮らしてたんだ…お父さんはね？お母さんが毎日行く障害者のための施設で知り合ったんだ…けどお母さんよりは本当に障害は軽かった…おばあちゃんはそんなお母さんとお父さんをいつも助けてくれて…けど僕が小学生になった時…死んだんだ…ガンで…
その１週間後にお父さんは車にひかれて死んだんだ…
お母さんは僕なんか育てられる状況じゃなくなった…それで…嫌がるお母さんから僕を引き離したんだ｣

健｢そっか…｣

聡｢けどね？お母さんと会うたびに…お母さんと別れるたびに…僕には立派なお母さんがいる…恥ずかしく思うことなんてないんだって思うの…
だって春野にはどこに居るのかも生きてるのかもわからない…もうこの世にはいない人だっているから
本当に僕は幸せ者だなって^^｣


聡は静かに涙を流しながら話した


健｢そうだな^^｣


そう言う聡はいつもマリウスとケンカしてる聡とは全然違って俺より全然大人に見えた

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