＊春野院〜みんな家族６〜＊

遺されたもの＊8＊ ページ1

光side


翌日…俺が起きるともう薮の姿はなかった



部屋を出て広い居間に行くと昨日会った親戚の人達が集まっていた



光｢おはようございます｣

｢おはよう…たしか宏太の友達だったね？｣

光｢薮…知りませんか？｣

｢宏太なら…さっき出てったよ｣

光｢どこに？｣

｢………｣

光｢教えて下さい…どこに？｣

｢お墓じゃないかしら｣

光｢お墓…｣

｢四人の…そこの角にあるわ｣

光｢ありがとうございます｣


薮の家を出てすぐの角にあるお墓に薮はいた



静かに手を合わせて…静かに泣いていた


薮｢父さん？俺は別にね会社とかどうでもよかったんだよ？倒産したってよかった…母さん？俺がもっと支えになってあげられてれば…今はちょっと違ったのかな？
兄ちゃん？半分嫌そうにいつも遊んでくれたよね…本当…いい兄ちゃんだったよ…それ今の俺にちょっと似てるかもって最近思った
って…言い過ぎか…
姉ちゃん？宏太は大きくなったら兄ちゃんとは違うイケメンになるっていつも言ってたよね？
今の俺カッコいいかな？

もう俺…ひとりになっちゃったけどさ…今でも時々考えるんだ…もしあの時…俺が死んでたらって


俺が死んでたら今はもっと違ったのかな？

ねぇ…みんな？
もうあれから12年も経つから…いつもならなんにも思わないんだけどさ…この時期になると考えるんだ

なんで俺を…生かしたの？

なんで俺だけ…置いていったの？

何回考えても…わかんないんだ…

みんな…俺のこと…嫌いだったの？

俺も一緒に連れてってよ…じゃないと俺…ずっとひとりだよ…｣



だんだんと視界がぼやけていく…


薮｢光…｣

光｢っ薮…ごめんっ…聞いちゃった…｣


…俺…泣いてたんだ…

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