最前列へXIV

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気分転換で出かけたはずなのに
電車を降りて、適当に進んでいると、小さな段差が行手を阻んだ

貴「このくらい」

なんて無理やり力を込めてバランスを崩しそうになる

貴「わっ」

「大丈夫ですか？！」

貴「すみません。大丈夫です」

恥ずかしくて、慌てて逃げようとすると

「もしかしてA？」

貴「え？」
知り合いかと思い慌てて顔をあげると

山「私だよ！山下美月！ほら、昔家近くでよく遊んでた！」

間違いなく美月ちゃんだった

貴「違います。ありがとうございました」

なんて、ひどい態度をとってしまった

山「え？いやいや、絶対Aじゃん」

貴「人違いです」

早く逃げたいのに、スムーズに行かないのは私の足が動かないから

山「いや、忘れるわけ」

貴「離してください」

マ「なにしてんのー？戻るよー！」

山「あっ、ちょっと待って」

山「もーー！」

なんでここに
しかもなんですぐに思い出すんだ

素直に喜べないのは、あの時裏切られたと感じたからか


山下side

地元の近くで撮影

山「この辺懐かしいな〜」

「地元この辺ですか？」

山「そうなんですよ〜。学生時代とかよく通ってました」

なんて話してたら、車椅子の人が目に入った

段差があるのか進めてなくて

手伝おうかなって近づいた瞬間
バランスを崩しそうになった

山「大丈夫ですか？！」

「すみません。大丈夫です」

チラッと顔が見えて気がついた

山「もしかして、A？」

幼馴染のA、顔も変わってないし
母から車椅子を使ってることも聞いていた。

貴「え？」

パッと顔を上げたAと目が合う

山「私だよ！山下美月！ほら、昔家近くでよく遊んでた！」


貴「違います。ありがとうございました」

なんて、そのまま行こうとする

山「え？いやいや、絶対Aじゃん」

貴「人違いです」

間違えるわけがない
左手の黒子がその証拠だ

山「いや、忘れるわけ」

貴「離してください」

マ「なにしてんのー？戻るよー！」

山「あっ、ちょっと待って」

山「もー！」

まぁいいや、すぐ会えるし

仕事が終わり、実家に帰る
もちろん向かうのはAの家

山「こんばんは」

「あら美月ちゃん！帰ってたのね！いつも見てるよ〜」

山「ありがとうございます」

「Aなら部屋にいるから、勝手に上がって」

山「おじゃましまーす」

山「よっ！さっきぶり」

貴「、なに」

山「あら、思春期モード？せっかく帰ってきたのに😙」

貴「忙しいなら、家で休みなよ」

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