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そんな会話の脈絡的には意外とすんなりサインを貰えそうな関係性の黄瀬くんと、昇降口に向かう廊下を歩いていた。途中すれ違う友人何人かとばいばーい、と手を振りながら歩いていると、黄瀬くんが不意に言った。
「Aちゃんは部活入んないんスか」
前世は中高共に全生徒何かしらの部活に入らなくてはならない校則があったので、何かしらの部活には所属していた。
だが帝光はなんと部活動の加入は自由。帰宅部も許されているのである。なので今世は一度何部にも入らず、放課後の制限がない学生生活というものを謳歌しようと心に決めている。
「だから帰宅部のエースだってば」
「へー」
最初のあの自己紹介の時は私の冗談に辛うじて愛想笑いをしてくれていた黄瀬くんが、もう平坦な返ししかしてくれない事に若干寂しさを覚える。
まああの時より仲良くなった証なのかなー、と思いながら「黄瀬くんは？」と返す。
2年になったらバスケ部に入ることはわかっているが、何となく聞くと黄瀬くんは下駄箱からローファーを取り出しながら「あー」となんだか気怠そうに答えた。
「なんか姉ちゃんが俺の写真をモデル事務所に勝手に送ったらしくて、近々モデルデビューするんスよね。だから放課後ちょっと撮影とかあるっぽいし」
「えーすご」
「……反応薄くないスか」
まあ知ってるしな〜、と内心で思いながら「割とガチで驚いてるよ」と口では返した直後、重大な事に気がつく。
これ、今脈絡的にもサイン貰えるチャンスなんじゃないのか。「モデルになる」と公言するという事は、多少なりとも有名人になる事をアピールしたい心はあるはずだ。それにモデルとして雑誌媒体でデビューするなら、不特定多数のファンもつくのだろう。彼の整った容姿なら需要が一気に高まる様も容易に想像出来る。
黄瀬くん有名人になるのーサインちょーだーい。えー仕方ないッスねーちゃんと部屋に飾るんスよー。飾る飾るー(大嘘)。
脳内シュミレーションは完璧だ。あとはこの通りに進めればOK。ヤフ○ク一攫千金待ったなしだ。多少良心と倫理的観念による心の痛みがあるが、好奇心と高額出品者独特の全能感には抗えない。
私が口を開こうとしたその前に、黄瀬くんは「それに、」と続けた。
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牛タン(プロフ) - アンパンさん» コメントをいただきありがとうございます。そう言っていただき光栄です。度々話のキリが悪い更新の仕方ですが、温かく見守っていただけますと幸いです🙇 (3月1日 23時) (
レス) id: 68be7e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - めっちゃ文章が好きです！！これからも更新楽しみに待ってます (3月1日 15時) (レス) @page20 id: 2d65495c60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：牛タン | 作成日時：2024年2月27日 9時
