39 ページ40
「黒子くんはどんな本読むの？ そういえばハリ○タ読み終わった？」
そう尋ねると黒子くんは「そうですね」と斜め上の空を見る様に視線を流した。
「僕はハッピーエンドで終わる話が好きです。ハリー○ッターもそういう意味ですごく好きでした」
「過程が暗い分終わりのハッピー感が際立つよね、あれ」
そのまま黒子くんの隣に戻り、「ハッピーエンドか〜」と伸びをして唸る様に言った。
そういえば、彼の物語はバスケを楽しいと思えなくなったかつての仲間に、1人ずつ楽しさを思い出させる為に奮闘するものであった。黒子くんは血を滲む様な努力をして、結果的にハッピーエンドを勝ち取る。
週刊少年ジャンプのそんな物語の主人公をやっていた彼だ。ハッピーエンドが好きなのも、彼のそんな芯にある明るさ故なんじゃないかななんて思う。
「桐原さんはどんな本読むんですか？」
「私はね〜、結構前に読んだ白夜行が衝撃的過ぎてそれ以降はなんかそういう本ばっか読んでる」
「あの辞書みたいな分厚さの陰鬱な本ですよね」
読んだことがあるのか、頭の端から記憶を引っ張り出す様に黒子くんは言った。何だか的を得てる表現が面白くて少し笑いながら「そう、それ」と返す。
「でも自分の人生はハッピーな方がいいよね」
「何ですか急に」
「暗いまま終わるのはフィクションだったら良いけど、現実だったら絶対幸せな方がいいもん」
そう思うと一度死にはしたが、今こうして漫画の世界に転生している私の顛末って相当奇怪だが同時に幸せだな、なんて思っていると、黒子くんは薄い微笑みと共に「そうですね」と同意する。
「そういえば全然話変わるんですけど、さっき古本を見てたら面白い本がありました」
「どんなの？」
「なんか、『〜おは朝専属占い師が贈る〜 蟹座のアナタへのメッセージ』って本です。過去の分何冊かセットで200円でした」
「……へー」
え、あれ売ってもオッケーって事になったんだ。てっきり本人のところに丸ごと返却されてるかと思ってた。
出品の可否の判断基準わかんないな〜なんて思っていると、横で「過去の運勢が書いてある本なんて、誰が買うんでしょうか」と黒子くんが心底不思議そうな声色でそう言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
牛タン(プロフ) - アンパンさん» コメントをいただきありがとうございます。そう言っていただき光栄です。度々話のキリが悪い更新の仕方ですが、温かく見守っていただけますと幸いです🙇 (3月1日 23時) (
レス) id: 68be7e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - めっちゃ文章が好きです！！これからも更新楽しみに待ってます (3月1日 15時) (レス) @page20 id: 2d65495c60 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：牛タン | 作成日時：2024年2月27日 9時
