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階段を上がると、廊下中央の掲示板前に若干の人だかりが出来ているのが見えた。
うわー、もっと早く来ればよかった。いくら個人情報割とゆるゆるな年代と言えど、赤の他人の名前写真撮ってるのは流石に側から見て怪し過ぎる。
変人覚悟で撮りに行こうかな、でもなぁ、と頭の中で多少の葛藤をしながら立ち尽くしていると、後ろからポンっと肩を叩かれ頭上から「おはよッス。何してんスか、ぼけっとしちゃって」という軽快な声が聞こえてきた。
「あー、あれ中間試験の上位10人が貼り出されてるってやつッスか」
「うん、そう」
興味がなさそうな平坦な声で「へー」と相槌を打つと、黄瀬くんは私よりも先に歩き出す。
「見たいッスか？」
「……いや、いいや」
「じゃ行こ」
放課後人が減った時にまた行って写真撮ればいいか、と思い直し、黄瀬くんの背中に「うん」と軽く返して歩み出した。
「Aー！ あ、黄瀬くんもいる。まあいいやちょっと来てよー！」
だが、歩き出してすぐ、人だかりの横を通りがかったところで不意に声を掛けられ私達は足を止めることになる。
見ると、クラスの友人達がこぞってこっちこっち、と手招きしていた。
「どしたの」
「えー、放送席放送席ー」
「マジで何」
巨人ファンのユミちゃんが唐突に始めたヒーローインタビューの真似事に怪訝な顔をして答えれば、彼女はそんな私の表情を気にも留めずこう続けた。
「桐原選手ー、成績優秀者上位2位となった今のお気持ちはいかがですかー？」
「え」
驚いて貼り紙を見て、私はさらに目を見開いた。
大きく書かれた「一位」の下には、赤司征十郎の名前が悠然と構えていた。当然の様に全教科満点だ。その２つ左隣。「三位」の下には、緑間真太郎の名前が堂々と構えている。点数的にも全教科通して2,3個程度の間違いしかなかったのだろう。
そしてその真ん中。「二位」の下には桐原Aという文字列が、憎々しいほどにどっしり構えていた。
私の名前、超邪魔〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
内心そう絶叫しながら、「自分には勿体無い、皆さんの協力があってからこそ、得られた順位だと、思います……」と口から出まかせで擬似ヒーローインタビューに応えた。
いつの間にか私の横に来ていた黄瀬くんが「おー！ すごいッスね」と言いながら、ケータイで貼り紙に載る私の名前を写真で撮っている。「見せ物じゃないよ」とピシャリと言えば、黄瀬くんは面白そうにけらけらと笑った。
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牛タン(プロフ) - アンパンさん» コメントをいただきありがとうございます。そう言っていただき光栄です。度々話のキリが悪い更新の仕方ですが、温かく見守っていただけますと幸いです🙇 (3月1日 23時) (
レス) id: 68be7e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - めっちゃ文章が好きです！！これからも更新楽しみに待ってます (3月1日 15時) (レス) @page20 id: 2d65495c60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：牛タン | 作成日時：2024年2月27日 9時
