247話 ページ36
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そわそわと、ジョーカーは
どこか落ち着かない様子で
手元の端末に視線を滑らせる。
神妙な顔つきは 未だに晴れないまま
切り詰まったような空気だけが流れていた。
「ジョーカー、」
『……何?』
そんな息苦しい空気の中、ふと口を開いたのはロコだった。
「君が不安になる気持ちは分かります。
でも、今はひとまず置いておきませんか?
ここで僕達が焦ってしまっても、
どうにかなるわけじゃありません。」
『………』
それは諌めるような口調でありながら、
こちらを慰めるような、酷く柔らかな語気だった。
重なっていく心配事に、
剣呑な光を宿していたジョーカーの瞳が
ロコの純粋なる主張をきいて、変化を見せる。
「でも、きっと大丈夫です!
師匠のことは、クイーン達に任せましょう」
『……そうね。…ん、ごめん。
冷静になったつもりだったんだけどね、』
これでも、と呟くように言葉尻を続けて、
ジョーカーは消極的に笑んでみせてから
かちり、と端末の電源を落とす。
_____ロコは、そんな彼女の横に座りながら
体温の引いた手に、頬を擦り寄せた。
「(ジョーカー。
君はいつだって強くて、まっすぐで…
いつも自分の弱みを飲み込んでしまう。
1人で抱え込んでしまう。)」
強気な殻にこもった彼女の心根は、
本当はひどく繊細で傷つきやすいのだと
知っているからこそ、ロコは歯がゆい気持ちを覚える。
「(だからこそ、
貴方が不安になっているのなら、僕やハチくん…
周りの皆は、それを打ち明けてほしいんですよ。
貴方が僕たちの事を
大切に思ってくれてることなんて
分かりきってます。)」
ふわふわの毛並みを、ジョーカーの手にすりすりと寄せながら
ロコは自分の小さな身体を密かに恨んだ。
それでも、せめて少しでもジョーカーの支えに、と
自分自身の小さな弱音は喉奥に押しとどめる
「(そんな君だから、僕は_____
Aの頼りになりたいんです。)」
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カフェオレ。(プロフ) - こむぎまちさん» こちらこそご丁寧にありがとうございます。私側のフォローもしていただき、僭越ながら痛み入っております。6月は家内の事情もあって続編作成が遅れてしまいそうなのですが、そう言って頂けると誠勝手ながら安心します( ´ー`)コメントありがとうございました (2022年6月3日 17時) (レス) id: 976745b1c2 (このIDを非表示/違反報告)
こむぎまち(プロフ) - カフェオレ。さん» 返信ありがとうございます。拝見させていただきました。そのような理由があったのですね…その人がしたことは決して許されません。これからも応援しています、のんびり自分のペースで頑張って下さい。 (2022年6月1日 23時) (レス) @page50 id: a5368f8fd0 (このIDを非表示/違反報告)
カフェオレ。(プロフ) - こむぎまちさん» 長らくコメントを返信できず申し訳ありません。遅ればせながら、パスワードを公開できない事情、公開に至るまでの旨をページ50話に記載致しました。御手数ですが拝謁いただけると幸いです。 (2022年6月1日 3時) (レス) id: 976745b1c2 (このIDを非表示/違反報告)
カフェオレ。(プロフ) - アニメ好きのただのOTAKUさん» 光栄の極み…!これからもこの作品を宜しくしてくださるとうれしいです!コメントありがとうございました! (2022年6月1日 3時) (レス) id: 976745b1c2 (このIDを非表示/違反報告)
こむぎまち(プロフ) - 初めまして。作者様にお願いがあります。怪盗少女2と3の非公開解除はいつ頃になりそうでしょうか。 (2022年4月4日 15時) (レス) id: a5368f8fd0 (このIDを非表示/違反報告)
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