隣のクラスのナガセクン (ページ20)

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永瀬side

ステージに上がってきた2人の女。

1人は前に放課後に相手をしてやった萌え袖大好き女。

もう1人は一度も目が合わないし、まだ顔もはっきり見えてない黒髪の女。

…なんやねん、目くらい合わせろや

目を合わせようとしない女にただでさえイライラしてるのに、大吾が「もちろん、甘い言葉つきやで♡」なんていうから余計イライラは増すばかり。

すると急に真っ暗になったステージに2つのスポットライトが俺と萌え袖女に当たるもんだから

…まぁ1位なったし、しゃあないやん俺！なんて腹くくって

「こっち向けよ、キスできひんやろ」

別にキスする気なんて微塵もないけど発した言葉

真っ赤に頬を染め口元を手で押さえる萌え袖女

…そんなことされても絶対惚れへんから。

近づけた顔を戻したのを合図に、大吾がじゃあ重岡(人1)ちゃんへのあごくいまで～？3.2.1Q!!って急かすから咄嗟に思いついたのを言ってみた

…下ばっか向きやがって

ムカつくけど、俺にあごくいされることになって嬉しくて照れとるだけやろ

って勝手に自己解釈してまた気持ちのこもっていない甘い言葉を囁く。

「…なぁ下ばっか向いてんとこっち見て」

少し強引にあげた黒髪の女の顎

萌え袖女とは比べ物にならないくらい可愛くて儚いような存在に思えた

でも理解できへん

……なぁ、なんで

「お前の可愛い笑顔…見してくれよ」

なんで今にも泣きそうな顔しとん

あごくい嬉しすぎてなんかな？

なんて思ったけど、きっとそれは違う

やって、この瞳からは悲しそうな感じしか伝わらへんもん

人生で初めて出逢った

俺に惚れへん女