ビターでスイーツな恋愛論～Part.２～ (ページ9)

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４９：ラクな関係ページ9

テーブルの上に置いたメンソールのタバコの箱に手を伸ばして、手慣れた様子で火をつける。

顔を背けて『フー』っと紫煙を吐き出す亜美。

「私はね？徹さんと付き合ってるあんたはいっつも無理してる様に見えた。」

無理して…ない…

とは言えない。

超一流大を出て…
国家公務員…所謂官僚…

そんな徹に見合う様にって精一杯背伸びして、徹に似合う自分でいないとって自分でプレッシャーをかけて…。

物分りのいい、自立した女を演じてた結果…

『Aは強いから俺いなくても平気だよな』

別れの理由はよくあるセリフで言われた。

「だからフラれたって言うの？」

「うん。」

「キツい…キツ過ぎでしょ？亜美さん？」

フラれて傷心の友達に言うセリフ？

「そんな付き合い遅かれ早かれ破綻してたわよ。もしかしたら疲れて別れを切り出したのはあんただったかもよ？」

「…。」

俯くと見える亜美がトンと灰を落とす指…。

「その点…二宮和也さんはラクそうだけど？それに…。」

「うん？」

「…女は惚れて追っかけるよりも、惚れられてたのが絶対幸せよ？」

…そうだ…ね…。

社内の噂で勝手に作り上げていた二宮和也と、今、私の中にいる私の目で見た二宮和也とでは全然違う。

私を『好きだ』と真っ正面から言ってくれる彼の目には嘘も偽りも全く映ってなくて。

『俺さ？多分…エレベーターで会った時からお前が好きなんだと思う…一目惚れ…っての？』

照れ臭そうに笑って、頬を少し赤らめた。

『だから雨の中拾ったんだろうな…。』

『私、あんたを利用したのよ？ヒドイ女なの…。』

『そん時は俺も自覚なかったし…いい思いできたんだ…。おあいこでしょうよ。』

『フッ』って笑った顔は私を責めるどころか優しかった。

「まぁ…焦って答え出す必要もないし。もっと彼を知ってから結論出してもいいんじゃない？」

「…うん。」

「ふふふ…あんたの顔には答え出てるけどね。」

「そんな事ないでしょ？」

見透かされてるのが恥ずかしくて、思い切りストローを吸ったら『ズズッ』って大きな音がして恥ずかしくて俯いた。