７０：確認 ページ30
会社から帰って来て、早速荷造りと明日着る服を選ぶ。
あまりフェミニンでも…
逆に可愛い過ぎてもなぁ…。
クローゼットの中を漁ってると、鳴るインターホン。
え？もう？
早くない？
「はーい。」
『ちゃんと確認しなさい』
何回、そう言われたか。
今…その二宮和也の言葉を思い知った。
「…よぉ。」
「…徹…。」
今更、何の用？
そう聞くまでもなく徹が…
「なぁ？やり直そう？」
って玄関先で突然言った。
「…は？！だってあなたは結婚したでしょ？千里と別れるって言うの？」
「いや…世間体もあるし出世にも響くから別れない。子供も生まれるし。」
え？え？意味わからない。
「つまり…私に愛人になれ…と？」
「まぁ…そういう事だ。大丈夫、不自由はさせないよ。」
どういう意味での『不自由』…？
「アイツさ…我儘過ぎて俺の言う事なんて聞かないし、適当に金渡して自由にさせとけば文句も言わねぇだろ？」
「…。」
「アイツは俺を好きなんじゃなくて、お前を絶望させれれば何でもよかったんだよ。」
知ってる…そんな事。
知ってて見て見ぬフリをしてきた。
昔から私の持ってる物に、異常に執着したり欲しがったり…。
「どうだ？千里に仕返ししたいだろ？」
私が断るわけないと自信満々な徹の顔。
私ってつくづく人を見る目がないのね…。
親友だけじゃなくて元彼まで…。
恋に恋をしちゃって、きっと自分にとって悪いトコは見て見ぬフリをして、勝手に徹の虚像を作り上げてたんだ。
「お前はバカな千里と違って、頭がよくて我儘言わないし…ラクなんだよ。容姿端麗だしな。」
「は？」
あなたがそういう女を望んだから…
自分を偽って、取り繕って必死に演じてたのよ！
「だから、愛人にするには最適なんだ。結婚したきゃ、そういうのオッケーな同僚紹介するし。」
いい条件だと思ってるのか、やっぱり自信満々な徹。
「無理…。」
「は？こんな条件揃ってて何が不満？金？」
「そういう事じゃない！帰って！顔も見たくない！」
ドアを開いて徹を押し出すと、
「そんなにあの男がいいのか？俺がアイツのどこが劣ってる？」
って…。
「全部よ！」
「まさか『好き』だなんて幻想の気持ちでそっちを取るのか？お前はもっと利口だと思ってた。」
「好きよ…私は彼が好きなの。」
二宮和也の優しさにどれだけ救われたか。
「好きなの…大好きよ？」
そう言って徹の肩越し見えたのは…
二宮和也だった…。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2014年2月20日 6時
