５５：クマ？パンダ？ ページ15
いつもより歩くペースが早い…。
駐車場に着いて、車のロックが解除されて開けられたのはスライドドアの後部座席。
戸惑う私に目だけで乗る様に促す。
素直従うと、二宮和也もサッと乗り込んできて、そのまま私を抱きしめた。
「よく頑張ったな…。もう泣いていいぞ。」
背中をさすりながら耳元であやすように優しく言うから…
「…と…友達…ひとり無くし…ちゃ…。」
泣けてきちゃうじゃない…。
「あんなん友達って言わねぇだろ？友達欲しけりゃ紹介するぞ？そうだな…相葉さんどう？」
「…ん〜…疲れ…そう。」
「はは、確かに。俺も多々そう思うわ。けど…その分計算とか全くしねぇぞ？ってかできねぇ。」
うん…笑顔が太陽みたいで…
素直で純粋な人だったね…。
「遥さんだって…樹里さんだって、きっと友達になってくれるよ。」
「樹里…さん？」
「あぁ。大野さんの奥さん。美人だぞ？ものすごく気が強いけど。」
きっと大人なデートの為に、オシャレしてきてくれたであろう二宮和也のジャケットが涙で濡れてく。
離れ様とするけど、抱きしめる腕に力を込められるだけで…。
「それに俺は…いつでも…どんな時でもお前の味方だ。」
「…っ…ぅん。」
「今まで溜め込んできた分…全部全部吐き出しちまえ。俺が全部受け止めてやるから…。」
泣きながら、徹と千里への思いや愚痴を支離滅裂に話す私をしっかりと抱きしめたまま、話を遮る事なく…
時折、相槌を打ちながら聞いてくれた。
「いいコでいる必要なんてない。無理して取り繕う事なんてしなくていい。AはAのままでいいんだよ。」
なんて…
徹に言って欲しかった言葉を…
当たり前に口にする二宮和也にしがみつく。
「お前はそのままで十分。なんたってこのニノちゃんが堕ちちゃった女の子だし？」
『ククク』って自分で言って自分で笑ってる。
私を少し離して顔を覗き込まれる。
「ククク…ボロボロ。クマ？パンダ？」
「やっ！」
咄嗟に顔を背けるけど、頬に手を添えられ戻されて、マスカラやアイラインが落ちてるのであろう目元を笑いながら指で拭う。
「化粧が落ちて目の周り真っ黒なお前ですら可愛いって思う俺はおかしいか？」
「…。」
「クマだろうがパンダだろうが…飾らないそのままのお前が一番可愛い。」
『な？』って言った優しい顔を私はずっと忘れないと思う。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2014年2月20日 6時
