ビターでスイーツな恋愛論～Part.２～ (ページ12)

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５２：意味がないページ12

二宮和也はいつもそう。

『お前の好きなのでいい』
『お前の行きたい所でいい』

そればっかり繰り返すから、

『自分の意見はないの？』

って聞いた事がある。

『俺には何を食うとか何処に行くなんてのは重要じゃない。お前と飯を食えて、お前と出かけられるってのが重要。』

そう言った…。

徹は全部自分で決めて、全部自分で段取りするタイプで…
最初は『大人だな』なんて思ってたけど…

『そんなの食べるの？』
『俺にはそんな場所向いてない』

そう言われて、いつしか徹の言う通りにする事が当たり前で…

けど、こういう人とお付き合いするってこういう事なんだって自分に言い聞かせてたし、間違いなくそういう徹を好きだった。

「…A？…お前やっぱり…。」

「ううん。どれも美味しそうで迷ってたの。」

二宮和也は私のちょっとした変化を敏感に感じ取る。

まぁ…元々観察眼が鋭いって言うか…
人の心を読み取るっていうのに長けている人なんだろう。

徹は体調が悪い事さえ気づいてくれなかったな。

……さっきから私…比べてばっかだ…。
サイテーだな…。

徹も二宮和也も全く別人なのに…。
違って当たり前なのに…。

「ねぇ？このオススメコースでいい？」

「あぁ。けどコース頼んで全部食えんのかよ？食細ぇクセに…。」

「うん。大丈夫。お腹空いてるし。」

「言ったからには責任持って食えよ？」

挑発的に笑って店員を呼んでオーダーしてくれた。

車で来てる為にお酒を飲むわけにはいかずソフトドリンクで乾杯をして、タイミングよく運ばれて来た前菜に口をつけた。

「ねぇ…そう言えばさ？」

「うん？」

「ロッカールームはあんたの噂で持ちきりよ？」

「片思いのお相手を探せってか？」

『フッ』と軽く笑ってフォークを口に運んだ。

「ふふふ。自分がそのお相手になりたいコがたくさんいたわよ？『彼がいても告白されたら別れる』ですって。」

「いや～…参ったね？わかってたけどニノちゃんモテモテ。」

はいはい…。

「けど…。」

急に声のトーンが下がって真剣さが伝わってくる。

「何人…何百人にモテたって…たったひとり惚れた女を振り向かせられなきゃ、意味なんてねぇだろ…。」

フォークを置いた二宮和也は正面の私を見つめと…

「恋愛って難しい…。もっと簡単だって思ってた。」

って切なそうに目を細めて微笑んだ。