４１：和也くん 〜N〜 ページ1
思えば俺の恋は最初っから片思いで…。
だって…あの瞬間に恋に堕ちてたとしたら…
コイツが他の男を思ってたって知ってたわけで…。
え？何？ニノちゃんてSだって自分では思ってたけど、実はM？(笑)
タバコを口の端で咥えながら、ハンドル状のコントローラを操作する。
「また負けた！」
コントローラを握りしめたまま、悔しそうに足をバタバタさせてソファに倒れ込んだ。
「ゲームでニノちゃんに勝とうなんて、お前の腕じゃ１００年経っても無理だ。」
バカにされて横目で睨み上げて…
ちょっと頬が膨らんでる。
なんだなんだ…？
可愛いじゃねぇかよ。
睨まれて愛おしく思えるなんて、やっぱニノちゃんてM？(笑)
「悔しい…。」
ムッとしたままボソっと言ったAがソファから起き上がって、
「教えて？」
って…。
ねぇ？
そのちょこっと首傾げて上目遣いって計算？
確信犯？
だとしたら…
そんな簡単に…
「和也くん？お願い？」
「…あぁ。」
完璧に確信犯ってわかってても…簡単に負ける俺。
てかね？結局、惚れた方の負けなのよ…。
「やった！ありがと。」
今度は計算でも確信犯でもない、満面の笑みを俺に向けて…。
赤いであろう顔を誤魔化す様に顔を背けて、タバコを揉み消した。
そして…そのまま…
「え？！……二宮和也？！」
膝の間にAを入れる様に後ろに回った。
そんなに体格がいいわけじゃない俺でも、すっぽり腕の中に入るAに女を強烈に意識して。
「ほれ、ちゃんとコレ握れ。教えて欲しいんだろ？」
「…う…うん。」
やっぱりそれを誤魔化す様にゲームを始める。
「…ちょ、お前…ヘタクソすぎんだろ？！どうしたらそうなんだよ！」
Aの手に重ねられた俺の手…。
顔の距離が近い所為でふんわり香るAの匂い…
Aの全部が心地いい…。
ボタンを押すタイミングを教えてやってんのに、素直に従わないAさん。
「うっさい！教え方が下手なの！」
「あぁ〜…こんなヘタクソ見た事ねぇ…。」
俺の指導虚しくビリなAさんの操作する赤いヒゲおじさん。
背もたれにふんぞり返ると、ム〜ッとした顔を俺に向けて。
「…もう一回…。」
「うん？」
聞こえてんのに聞き返す…
やっぱり俺はSだ(笑)
「…もう一回……教えて？」
「『和也くん？』は？」
「……和也…くん？」
「…あんま可愛くないけど…まぁ合格。」
起き上がり、不貞腐れたAの頭をポンポンとしてコントローラを握った。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2014年2月20日 6時
