限界短編集 (ページ10)

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声　たらこページ10

貴女「たらちゃ～ん！」
どこからか俺を呼ぶ懐かしい声が聞こえた。
俺が大好きだったあの娘の声。
今、俺は高校の同窓会に来ている。
そしていま、俺を呼んだのは…
tr「A？久しぶりだね」
貴女「おひさ～！たらちゃん全然変わってないね」
見違えるようになったが性格は変わっていない彼女の姿。
ずっとずっと好きだった君のままだ。
tr「そうかな？色々変わったつもりなんだけど…」
貴女「ん～、髪が長くなったね。似合ってる！可愛いよ！」
tr「男にたいしてかわいいは無いよA！」
貴女「あはは！ごめんごめん」
「機嫌直してよ～」と言いながら引っ付いてくる彼女をなだめながら内心スキップをしている。
久しぶりに初恋の相手と話せたのだ。
スキップくらいしてもおかしくないだろう。
そう思いながら彼女を見ると彼女の指にはキラリと輝く何かがあった。
そして俺は、それを理解したくなかった。
それを察したのかどうか知らないが、彼女はいつもの笑顔で言った。
貴女「そうそう、たらちゃん聞いてよ！」
そういって俺に指輪を見せる。
…やめてよ、悲しくなっちゃうから。
貴女「私ねー」
やめて、言わないでよ。
貴女「ー結婚したの！」
全身の力が抜けていき、絶望を感じた。
tr「…よ、よかったね！おめでとう！」
それからのことはよく覚えていない。
家に帰って死ぬほど泣いたのは覚えてる。
tr「A…結婚しちゃったんだ」
もう、誰かのものになっちゃったんだ。
ぼろぼろと涙がこぼれて布団に染みを作っていく。
でも、姿は見れたし話も出来た。
もう君とは絶対に結ばれないけど、彼女と友達としていられるなら…それだけでいいよ。
俺は大丈夫。だから、君のそばにいたいな。