恋と病と担当と ar ページ24
ar「うん、体調は良さそうだね」
俺は彼女にそっと微笑む。
貴女「はい、いつもありがとうございます」
そう言って会釈する彼女はAさん。
俺の担当患者だ。
彼女は不治の病にかかっている。
母数が少ないため、特効薬も作れないのだ。
…だから、いずれ彼女はタヒんでしまう、俺よりも早く。
そして、その時期は10年後。
10年とは、長く感じるが実際は短いものだ。
彼女の細く白い腕に刺さる真っ赤な点滴。
彼女の血液は刻々と入れ替わり続けている。
貴女「先生、どうかされましたか?」
そう言って首をかしげる彼女はまだ若く、容姿も優れている。頭もよいし、運動でも一番だったらしい。
そんな優秀な彼女があとたった10年で消えてしまう。
ar「ううん、なんでもないよ。早くよくなるといいね」
彼女には不治の病ということや、余命についてはなにも知らせていない。
だって、彼女が背負うにはいささか重すぎる。
貴女「…はい」
そう返事をした彼女が物憂げな目をしていたのはきっと気のせいだろう。
だって彼女は自身の病気についてはなにも知らないのだから。
君が生きるためならば、なんだってしてあげたい。
そう思うほどに俺は彼女を想っていた。
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bitter082806(プロフ) - あやのさん» ありがとうございます! (2021年1月18日 15時) (レス) id: 503db91ee4 (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - 曲パロ…!!!???え、好きです……() (2020年12月22日 0時) (レス) id: f37d64b2a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bitter | 作成日時:2020年9月15日 20時