びたーすうぃーと。【るぅと】

#12 ページ13

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ー Side るぅと ー




トントンっ、


ノックして中に入ると閉まっているカーテンが目に入る。





静かな保健室。



るぅと「Aちゃん」

寝ているのかと思い一応声をかけて近づいた。






『あ、開けないで！』


するとそのカーテンの向こうからAちゃんの声が聞こえて、慌てて掴んだカーテンの布を離す。



どこか焦っているような、そんな声だった。








ずっとここに僕が突っ立っててもさらに焦らせちゃうだけかな。



そう思ってカーテンから離れて歩き出したそのとき。







「A迎えに来たの？」






…さとみ先輩だ。


振り返るとカーテンの隙間から顔を覗かせるさとみ先輩がいた。






こんなの、僕にだってわかる。






保健室。

ひとつのベッドにふたり。

焦るAちゃん。




そして何より、

さとみ先輩のワイシャツのボタンが開いていたこと。







この隙間から全部わかっちゃったんだ。






さとみ「カラオケのときぶりだね。確か、るぅとくん？」





笑みが怖い。

あのときに見た爽やかな笑みとは違う。





顔に表情がない。






さとみ「Aのこと好きなの？」





…答えられないよ。

ここにはAちゃんもいる。




嘘をついてもAちゃんに嫌われる、本当のことを言ってもさとみ先輩が怖い。








Aちゃんは本当にさとみ先輩が好きなの？

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