微糖のコーヒー【窪谷須亜蓮】

9本目 ページ9

「スケッチというかクロッキーなんだけど…」

「何が違うんだ？」

しぶしぶ見せるはめに。

クロッキー。スケッチよりも短時間で、形だけを簡単に捉えて描写するもの。

だからほぼ窪谷須とは分からない絵になっている。

「へぇ、すげーな、美術っぽい…これ全部俺見て描いたのか」

「…窪谷須、体格が石膏像っぽいから…」

「うお、これとか瞬の机に座ってるやつ？何か照れるな、めちゃくちゃ見られてんじゃねーか」

私変態みたいじゃね？

「なんか、ごめん…」

「…いや、別にいいけどよ」
(こんなに見られてたのかよ、なんかすげー恥ずかしいな…)

「確かに窪谷須くんは体格もいいですし傷は少々気になりますが男性像のいいモデルになりそうですよね。彼脱いでもすごいですし。ほら美術系の世界ではよくあるのでしょう？生の人間のヌードをデッサンしたりですとか。ここは本格的にモデルになってもらっては？」

余計なこと言うな！

「ぬ、ヌードってそりゃねーだろ女の前でそういうこと言うのやめろよな」

「おやこれは失礼、少々デリカシーに欠けましたね。」

本当だよまったく

でも正直、ヌードはともかくモデルにはなってほしい

「…窪谷須がよければ…お願いしたいんだけど」

「え…脱ぐのか？」

いやヌードじゃなくて

「あ、あぁ、フツーのモデルな…！
別にいいけど俺できっかなぁ。ずっとじっとしてなきゃいけねぇんだろ？」

「なら１ポーズ15分…いや、10分くらいでいいから。放課後にたまに部室に顔出してほしい、それなりのもてなしもするし」

ほんとはもっとじっくり、デッサンくらいやりたいけど

「…ま、いーか。なら暇なとき行くわ」

まさかの交渉成立…
本当に来てくれるのかな

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