微糖のコーヒー【窪谷須亜蓮】

49本目 ページ49

番狂わせのリレーといったところか

灰炉につながれたバトン、気合いの灰炉がトップの陸上部員を追い抜かそうとしたところ

コーナーで滑った別の生徒に躓き、まさかの転倒

「灰炉！！」

そのすきに一気に５人ほどに追い抜かれてしまった。
慌てて起き上がった灰炉の膝は負傷していたが
それさえ気づいていないのか、必死のようすで

ものすごい勢いで走っては窪谷須にバトンを繋いだ

「すまない、迂闊だったよ…ッ、抜けると思って余裕をもってしまった。
もう少し緊張感を持っていれば避けられたはずなのに…」

痛々しい膝をひきずりながら走り終えた灰炉に肩を貸す。

「無茶言わない、灰炉のせいじゃないよ。」

5人の選手を前に、うまくバトンを受け取った窪谷須がその大股で走る走る

一人、二人と追い抜いた。

すごい、かっこいい…



いや見とれている場合じゃない、

向こう側で才虎さんが待ち構えている

うまく繋がるか


そんな不安もよそに、

「頼んだぜ！」

「ふん、任せろ」


あんなにスムーズなバトン渡し、練習では見なかった


そのあと、才虎さんがなんとか一人、追い抜かしてくれて

あと二人だ
リレーゾーンに出て、待機する

大丈夫、できる

「A！」

才虎さんからのバトンを受け取った瞬間に

足を強く踏み切った






たとえ私が、元陸上部だったとしても
現役運動部の男子にはやはり劣るのだと



さすがアンカー、どのクラスもぶっちぎりの人間をもってくるものだ

ゴール寸前まで粘り、距離は詰めたものの
ギリギリ前の二人に追い抜くことができず


私たちのチームは三位の結果に終わった。

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