35本目 ページ35
「37度６分ね。風邪かしら。
もう五時間目だし、早退して休んだら？」
少し熱があった。
海藤の額体温計、あなどれない。
昨日濡れて帰ったせいと、
眠りが悪いから免疫力も落ちていたのかもしれない。
「そうします。」
「今、クラスの子があなたの荷物を持ってきてくれているそうよ。早退届を出してきてあげるから、少しここで待っててね。」
そういうと先生は保健室から退出する。
誰が鞄を持ってきてくれるのだろう。
しばらくも待たないうちに、ノックの音がする。
「失礼します、３年の窪谷須です…って、センコーいねぇのか。」
うえ、まさかの窪谷須？
そこは女子が持ってくるとこじゃん
まぁ窪谷須は席が近いからあれだけど…
「ほら、荷物もってきてやったぜ。傘と菓子も一緒に入れてっから、気分良くなったら食えよな」
「どうも…」
鞄を受けとるがなかなか鞄の重力がかかってこない。
「…おめぇ、やっぱ嘘ついてたろ。」
理由は窪谷須が鞄から手を離してくれないから。
じとっと私を見る目がなんだか怖かった。
そんな顔もするんだ。まぁ元ヤンだし。
怒ってるのかな
「んん…」
「俺なんかに気ィ使う必要ねぇのに。」
ようやく手を離すと、
どかっと隣に座る。
「俺のことダチだと思ってねーの？」
横顔が問いかけてくる。
髪が邪魔で表情がよく見えない。
「お、おもってるけど」
「けど？」
「…人が困ってんの見るとつい…ほら、しない偽善よりする偽善ってさ。」
「あのなぁ…」
呆れたようにため息をつく。
「…あんまし気ィ使われるとなんか寂しいだろうが」
早口でそう言われた。
「寂しいの？」
「………」
「…寂しいんだ。元ヤンのくせに。」
「あぁーっ、うるせぇ！やっぱ今の無しだ！」
からかうようにそう言ってやると勢いよく立ち上がった。
「ほら、帰るべ。」
「うん。窪谷須は教室に戻りなよ？」
「いやサボる。送ってくわ俺のせいでもあるし」
「は？大丈夫だよ。子供じゃあるまいし」
「いいから」
そう言うと勝手についてきてくる。
ほんとに犬みたいだな
「…じゃあもう変に気ィ使わないね」
「おう」
「窪谷須も気ィ使わないでね。」
「…おう。」
火照った頬は熱のせいか
はたまた別のなにがしか
頭がぼうっとして
間接が軋むように少し痛くて
少しむらむらしていて
全部熱のせいだけど
このまま勘違いして
窪谷須のこと好きになっちゃうかもしれない。
もう好きになっているかもしれない。
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doku(プロフ) - uhoさん» あっあっ、uhoさんありがとうございます…なんだかお恥ずかしい(>_<)しばしの現実逃避、お付き合いください(;_;) (2018年11月25日 13時) (
レス) id: 4071e07d98 (このIDを非表示/違反報告)
uho(プロフ) - コメント失礼致します…！！タイミングよく現れる窪谷須がかっこよすぎます…！私も以前から密かに拝見させて頂いてました！控えめに言ってめちゃくちゃ好きです…。更新楽しみにしております！ (2018年11月25日 11時) (レス) id: d981027b97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：doku | 作成日時：2018年11月12日 17時
